地震のあと、室内の壁や壁紙(クロス)に亀裂を見つけると、家の構造に問題がないか不安になります。令和8年熊本地震のあとの点検にも役立つよう、原因と危険度の見分け方、地震後の初期対応、基礎や屋根の確認ポイント、修理方法と費用、業者の選び方、耐震診断の補助、地震保険と公的な支援を、熊本の塗装会社が解説します。
この記事は、熊本で外壁・屋根・室内の塗装や雨漏りの調査を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。
壁にひび割れが入る原因(地震・経年)
地震の揺れで建物がわずかに変形すると、柱や梁(はり)の動きに、仕上げの壁がついていけずにひび割れが生じます。室内の壁のひび割れの多くは、建物の骨組みではなく、表面の仕上げ材に起きているものです。
石膏ボードの継ぎ目に沿って入るひび
多くの住宅の室内の壁は、柱や下地に石膏ボードを張り、その上に壁紙(クロス)を張って仕上げています。地震で揺れると、石膏ボードどうしの継ぎ目がわずかにずれ、その上の壁紙が縦や横にまっすぐ裂けたり、しわが寄ったりします。
窓やドアの角から斜めに入るひび
窓やドアなどの開口部の角は、揺れによる力が集中しやすい場所です。角から斜め方向にひび割れが入ることがよくあります。
塗り壁(漆喰・珪藻土・モルタル)のひび
漆喰や珪藻土、モルタルなどの塗り壁は、壁紙よりも硬く伸びにくいため、揺れでひび割れが出やすい仕上げです。細い線状のひびが網目のように広がることもあります。
地震以外の原因もある
室内の壁のひび割れは、地震だけが原因とは限りません。新築後の木材の乾燥によるやせや、コンクリート・モルタルの乾燥収縮、季節による湿度の変化、経年劣化でも、壁紙や塗り壁にひびが入ります。地震の前からあったひびかどうかも、判断の材料になります。
亀裂の形状や箇所によって、原因や危険度は異なります。どこに、どんな形のひびが入ったかを把握することが、適切な対処の第一歩です。
ひび割れの危険度の見分け方
| 目安 | 状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 軽微なことが多い | 壁紙の継ぎ目に沿った細い割れ、壁紙のしわ。ほかに異常がない | 写真を撮って記録し、様子を見る。気になる場合は補修 |
| 注意が必要 | 同じ場所のひびが広がる、斜めのひびが何本も入る、塗り壁が浮いている | 専門の業者に点検を依頼する |
| 早めに専門家へ | ドアや窓が開け閉めしにくい、床が傾いている、柱や梁にずれや割れがある、外壁や基礎にも大きなひびがある、雨漏りが出た | 建築士や工務店、住宅会社に相談し、建物全体を調査してもらう |
ひび割れの幅や長さは、定規やクラックスケールをあてて写真を撮っておくと、あとで広がっているかどうかを比べられます。ドアや窓の開け閉めが急に重くなった、すき間ができたといった変化は、建物の骨組みがゆがんでいるサインのことがあるため、見逃さないようにしましょう。
壁紙の細い亀裂だけなら大丈夫なケースも多いものの、建物の歪みで柱や梁の強度が低下している場合は、内部の構造の診断が重要です。気になる症状があれば、早めにプロに相談しましょう。
ひび割れを放置した場合のリスク
室内の壁の細いひびは、すぐに建物の強さに影響するものではないことが多い一方、放置すると次のようなリスクがあります。
- 外壁や屋根の見えない損傷から雨水が入り、壁の中の木材や断熱材が傷む
- ひびの広がりに気づかず、余震や次の地震で被害が大きくなる
- 壁紙のすき間から湿気が入り、カビや汚れの原因になる
- 保険や公的な支援の相談に役立つ、被害直後の記録が残らない
外壁・基礎・屋根のひび割れも確認を
室内の壁にひびが入るほどの揺れがあった場合は、外まわりにも被害が出ていることがあります。
- 外壁:モルタルや外壁材のひび割れ、目地のシーリングの切れ。すき間から雨水が入ると、壁の中の木材を傷める
- 基礎:コンクリートの基礎のひび割れ。幅の広いひびや、段差のあるひびは要注意
- 屋根:瓦のずれや割れ、棟板金の浮き。雨漏りの原因になる
- ベランダ・バルコニー:床の防水層のひび割れや、手すりのぐらつき
外壁や基礎のコンクリート・モルタルのひび割れは、幅によって補修の方法が変わります。幅の目安と補修方法は外壁のひび割れ補修で解説しています。
外壁のコーキング(シーリング)の切れから雨水が侵入すると、壁の内部の木材の腐食や、断熱性能の低下につながります。室内のひびとあわせて、外まわりも総合的に確認することが大切です。
平成28年と令和8年の熊本地震
平成28年(2016年)熊本地震では、4月14日にマグニチュード6.5の地震で益城町が震度7、4月16日にはマグニチュード7.3の地震で益城町と西原村が震度7を観測しました。同じ地域で震度7が2回観測されたのは、震度7が設けられた1949年以降初めてで、全壊・半壊・一部破損を合わせて約20万戸の住家被害が出ました(内閣府「平成29年版 防災白書」)。大きな揺れがくり返されると、1回目では目立たなかったひびが、あとから広がることもあります。地震のあとは、しばらく時間をおいて再点検することをおすすめします。
2026年(令和8年)7月28日16時27分ごろには、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1(暫定値)の地震が発生し、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。気象庁はこの地震とそれ以降の一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と名付けています。8月21日12時の時点で、震度1以上の地震は693回観測され、揺れの強かった地域では、8月18日から1〜2か月程度、最大震度5弱程度以上の地震に注意が必要とされています(気象庁「令和8年熊本地震について」)。
地震後の初期対応とDIY補修の限界
大きな地震のあとは、まず次のことを確認しましょう。
- 家族の安全と、ガス・電気・水道に異常がないかを確認する
- 加入している火災保険・地震保険の契約内容を確認し、被害があれば保険会社に連絡する
- 自治体の罹災証明書や、被災した住宅の支援制度の案内を確認する
- 突然訪問してきた業者とは、その場で契約しない
そのうえで、自分でできることは次のとおりです。
- ひび割れの場所・長さ・幅を、日付がわかるように写真に残す(保険の相談にも役立つ)
- ドアや窓の開け閉め、床の傾き、雨漏りの有無を確認する
- 壁紙の小さな割れは、市販の補修材で目立たなくすることもできる
- はしごや屋根に上っての確認は、落下の危険があるため避ける
DIYでできる補修とその限界
壁紙の継ぎ目の細い割れは、市販の補修材で目立たなくできます。ただし、補修材で埋められるのは表面の割れだけで、石膏ボードのずれや下地の割れは直せません。広い範囲の割れや、同じ場所がくり返し割れる場合は、下地から補修する必要があります。
壁紙の割れを補修材で埋めると見た目は整いますが、ひびの原因がわかりにくくなることもあります。とくに、ひびが広がっている、ドアが閉まりにくいといった症状があるときは、自分で隠してしまう前に専門家に見てもらいましょう。
室内の壁のひび割れの修理方法
| 修理方法 | 向いている状態 |
|---|---|
| 壁紙(クロス)の部分補修 | 継ぎ目の細い割れやすき間。補修材で埋めて目立たなくする |
| 壁紙の張り替え | 割れやしわが広い範囲にある、部分補修では色や柄が合わない |
| 石膏ボードの補修・交換 | ボードの継ぎ目のずれが大きい、ボードが割れている・浮いている |
| 塗り壁の補修 | 漆喰・珪藻土・モルタルのひびを埋め、仕上げ材を塗り直す |
| 室内の壁の塗装 | 塗装仕上げの壁や、ひびを補修したあと全体の色をそろえたい場合 |
| 構造の補強 | 柱や梁、基礎に被害がある。建築士などの調査にもとづいて行う |
壁紙の張り替え
壁紙を張り替える場合は、古い壁紙をはがしたあと、下地の継ぎ目やひびをパテで平らに整えてから新しい壁紙を張ります。下地処理を丁寧に行うことで、同じ場所の割れが目立ちにくくなります。当社でも、熊本市北区の戸建て住宅で、既存の壁紙をはがして下地をパテ処理し、グレートーンの壁紙に張り替えた事例があります(施工事例を見る)。

室内の壁を塗装で仕上げる
壁紙ではなく、塗装で室内の壁を仕上げる方法もあります。ひびを補修してから塗り直すことで、補修の跡を目立たなくし、部屋全体の色も一新できます。当社では、動物病院の室内の壁を、エスケー化研の「ベルアート」を吹き付けて明るい色に仕上げた事例があります(施工事例を見る)。
壁のひび割れの修理費用の考え方
当社の料金ページには、室内の壁・天井の塗装の目安として1㎡あたり1,200円、枠・キズの補修の目安として10,000円〜を掲載しています(いずれも税込・目安)。ひびの補修の範囲や下地の状態によって費用が変わるため、実際の金額は現地で確認してお見積りします(料金ページ)。壁紙の張り替えや石膏ボードの交換、構造の補強は、範囲と内容で費用が大きく変わるため、要相談です。
内装の補修と外装の修繕をまとめて行うと、足場や工程を効率よく進められます。複数の業者の見積もりを比較するときは、補修の範囲と方法の詳細、保険の申請に使える写真や報告書をもらえるかも確認しましょう。
- ひび割れの本数と範囲
- 下地(石膏ボード・塗り壁)の補修の要否
- 壁紙を部分補修するか、部屋全体を張り替えるか
- 家具の移動や養生の手間
- 外壁や屋根の補修もあわせて行うか
補修業者の選び方と見積もりのポイント
- ひびの原因を、室内だけでなく外壁・基礎・屋根まで確認してくれるか
- 補修の範囲と方法(部分補修・張り替え・下地の補修)が、見積書に分けて書かれているか
- 構造に関わる被害が疑われる場合に、建築士などの専門家への相談をすすめてくれるか
- 「保険金で無料で直せる」「行政から補助金が出る」と、契約を急がせないか
地震のあとは、災害に便乗した点検商法や、「保険金が使える」「行政から補助金が出るため自己負担なしで修理できる」と勧誘するトラブルが増えます。国民生活センターや熊本県は、契約をその場で決めず、周囲や公的な窓口に相談するよう呼びかけています(国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法」、熊本県「災害に便乗した悪質商法にご注意ください!」)。困ったときは、消費者ホットライン(188)に相談できます。
耐震診断・耐震補強と熊本市の補助
ひび割れをきっかけに家の耐震性が気になった方は、耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強を検討する方法があります。
熊本市では、平成12年5月31日以前に着工した戸建木造住宅を対象に、耐震化の補助制度を設けています。市に登録された耐震診断士が自宅を調査する「耐震診断士派遣事業」は、申込者の負担が1件5,000円で、2026年度の第2期は7月17日から10月2日まで募集しています。ただし、令和8年熊本地震の影響で、実際の調査は早くても11月中旬ごろからの予定とされています(熊本市「戸建木造住宅耐震診断士派遣事業」)。
耐震改修の設計・工事の補助(改修一括メニュー)は、復興予算の確保などとの兼ね合いから、2026年8月20日時点で、今後の相談案件を一旦預かる対応とされています(熊本市「戸建木造住宅の耐震改修等事業<改修一括>」)。制度の最新の状況は、熊本市住宅政策課に確認しましょう。耐震補強の工事は建築士などの設計にもとづいて行うもので、当社で対応できる内容は、お問い合わせの際にご確認ください。
壁のひび割れは地震保険の対象になる?
地震による建物の損害は、地震保険で補償されます。地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約するもので、地震による火災の損害も火災保険では補償されません(日本損害保険協会「損害保険Q&A 問62」)。ご自宅の保険に地震保険が付いているか、まず保険証券で確認しましょう。
地震保険では、損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」に分けて認定し、保険金額のそれぞれ100%・60%・30%・5%が支払われます。建物の場合、主要構造部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満だと一部損と認定され、一部損に至らない損害には保険金が支払われません。木造(在来軸組工法)の建物は、軸組(小屋組・内壁を含む)、基礎、屋根、外壁に着目して被害の程度を調べます(日本損害保険協会「地震保険 損害の認定基準」)。
つまり、壁紙の小さな割れだけでは一部損に届かないこともありますが、外壁や基礎、屋根にも被害があれば、あわせて調査の対象になります。気になる被害は写真に残し、保険会社や代理店に連絡しましょう。「保険金で無料で直せる」と勧誘する業者には注意が必要です。保険の注意点は雨漏りの修理に火災保険は使える?でも解説しています。
地震保険の請求の流れ
- 加入している損害保険会社に連絡する(保険証券がなくても、本人確認のうえで対応してもらえる)
- 保険会社が事故を受け付け、建物の被害の状況を調査する
- 損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)が認定され、保険金が支払われる
被害の状況は、片付けや修理を始める前に写真で記録しておくと、調査や相談がスムーズです(日本地震再保険「地震保険の保険金お支払い手続き」)。
被災した住宅の公的な支援(熊本市)
令和8年熊本地震では、熊本市に災害救助法が適用され(2026年7月28日)、屋根や外壁、窓などから雨水が入って被害が広がるおそれがある住家について、ブルーシートの展張などの緊急的な修理の費用を、上限56,400円まで市が修理業者に支払う「住家の緊急の修理」制度が設けられています。対象は半壊から準半壊程度相当の損傷を受けた住家で、この制度はり災証明書の提出が不要とされています(熊本市「住家の緊急の修理」制度の案内)。また、罹災証明書で準半壊以上と判定された住家には、日常生活に必要な最小限度の部分を応急的に修理する「被災した住宅の応急修理」の制度もあり、熊本市では費用の限度額が半壊以上で757,000円、準半壊で367,000円(1世帯あたり)とされています。修理業者に代金を支払う前に申し込む必要があるため、先に窓口で条件を確認しましょう(熊本市「被災した住宅の応急修理」制度の案内)。
賃貸住宅・マンションの場合
賃貸住宅にお住まいの場合は、自分で直す前に、まず管理会社や大家さんに連絡しましょう。マンションなどの区分所有建物では、専有部分の地震保険の認定は、内壁・床・天井などに着目して行われます。共用部分の被害は、管理組合の対応になります。
新築・築浅の家でひびが入った場合
新築住宅は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引き渡しから10年間、売主や施工会社が瑕疵担保責任を負うことが法律(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で義務付けられています。築年数が浅い家で、骨組みに関わるような被害が疑われる場合は、まず建てた住宅会社に相談しましょう。保証の考え方は外壁塗装の保証とは?でも紹介しています。
室内の壁のひび割れに関するよくある質問
Q. 余震が続いている間に直してもいいですか?
大きな余震が続いている間は、補修してもまた割れることがあります。写真で記録を残し、揺れが落ち着いてから補修するのが一般的です。ただし、雨漏りや、ドアが開かないなど生活に支障がある場合は、早めに相談してください。
Q. 地震のたびに同じ場所が割れます。
石膏ボードの継ぎ目や開口部の角は、揺れのたびに動きやすい場所です。補修の際に下地の継ぎ目を補強したり、動きに追従しやすい補修材を使ったりすることで、割れにくくできる場合があります。
Q. 外壁と室内の補修をまとめて頼めますか?
はい。当社では外壁のひび割れ補修や塗装、室内の壁・天井の塗装、壁紙の張り替えまで対応しています。雨漏りが出ている場合は、雨漏り鑑定士が原因を調べます。
Q. 令和8年熊本地震のあとに入ったひびも相談できますか?
はい。室内の壁や外壁のひび割れ、雨漏りなどのご相談を受け付けています。ご相談が集中する時期は、調査の日程を調整させていただくことがあります。まずはお問い合わせのうえ、ひびの写真や場所をお知らせください。
まとめ|壁のひびは記録と点検から
- 室内の壁のひび割れの多くは、石膏ボードの継ぎ目や開口部の角に入る、仕上げ材のひび
- ドアや窓の開閉不良、床の傾き、柱・基礎の損傷があれば、早めに専門家へ
- 室内だけでなく、外壁・基礎・屋根も確認する
- 地震保険は損害の程度で認定され、一部損に至らない損害は支払われない
- ひびの場所・長さ・幅を写真で記録しておくと、補修や保険の相談に役立つ
熊本で地震後の室内の壁や外壁のひび割れが気になる方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

