屋根カバー工法は、今の屋根の上に新しい屋根材を重ねるリフォーム工事です。葺き替えより費用や工期を抑えやすい一方、向かない場合もあります。費用の内訳と相場の考え方、メリット・デメリット、葺き替え・塗装との違いを解説します。
この記事は、熊本で外壁・屋根の塗装と改修を行う株式会社佐藤塗装(雨漏り鑑定士在籍)がまとめています。「屋根が古くなってきたけれど、塗装で済むのか、カバー工法や葺き替えが必要なのかわからない」という方は、工事を選ぶ前の判断材料にしてください。
屋根カバー工法とは?重ね葺きの仕組み
屋根カバー工法は、既存の屋根材を撤去せずに、その上から防水シート(ルーフィング)を張り、新しい屋根材をかぶせる工事です。屋根を二重にすることから「重ね葺き」とも呼ばれます。
新しい屋根材には、ガルバリウム鋼板などの軽量な金属屋根が使われるのが一般的です。今の屋根に重さが加わるため、できるだけ軽い屋根材を選ぶ必要があるからです。表面に石粒をつけて雨音や色あせを抑えたものや、断熱材と一体になったものなど、金属屋根にもいくつかの種類があります。
主に、スレート屋根(コロニアル・カラーベストなどと呼ばれる薄い板状の屋根材)や、古くなった金属屋根のリフォームで選ばれる工法です。
カバー工法で使われる主な屋根材
- ガルバリウム鋼板:アルミと亜鉛のめっきでサビにくくした鋼板。軽くて、カバー工法でもっとも多く使われる
- SGL(エスジーエル)鋼板:ガルバリウム鋼板のめっきにマグネシウムを加え、さらにサビにくくした鋼板
- 石粒付き鋼板:表面に天然石の粒をつけた金属屋根。雨音が響きにくく、色あせしにくい
- 断熱材一体型の金属屋根:屋根材の裏に断熱材が付いていて、夏の暑さや雨音を和らげる
屋根材によって、費用だけでなく、見た目や耐久性、メーカーの保証の内容も変わります。見積もりのときに、屋根材の商品名と特徴を確認しておきましょう。
カバー工法・葺き替え・塗装の違い
屋根のリフォームには、大きく分けて「塗装」「カバー工法」「葺き替え」の3つがあります。屋根の傷み具合によって、選べる工事が変わります。
| 工事 | 内容 | 向いている屋根の状態 | 費用・工期の傾向 |
|---|---|---|---|
| 屋根塗装 | 屋根材の表面を塗料で塗り直し、保護する | 屋根材の傷みが表面の色あせや汚れにとどまっている | 3つの中でもっとも抑えやすい |
| カバー工法 | 今の屋根の上に防水シートと新しい屋根材を重ねる | 屋根材の劣化が進んでいるが、下地(野地板)は傷んでいない | 塗装より高く、葺き替えより抑えやすい |
| 葺き替え | 今の屋根材を撤去し、下地から新しくする | 下地まで傷んでいる、雨漏りが続いている、瓦屋根を軽くしたい | 撤去・処分の分、もっとも大きくなりやすい |
屋根材がまだしっかりしていれば、塗装で傷みの進行を抑えるのがもっとも費用を抑えられる方法です。当社の屋根塗装の料金は、料金ページに目安を掲載しています(例:シリコンプラン 30坪 17万円〜・税込。足場代は別途)。一方、屋根材の割れや反りが多く、塗装しても長持ちが期待できない場合は、カバー工法や葺き替えを検討します。

塗装で済む屋根・カバー工法を考えたい屋根
- 塗装で済むことが多い:色あせ、表面の汚れやコケ、細かなひび割れが少しある
- カバー工法や葺き替えを考えたい:割れや反り、欠けが屋根全体に多い、塗装しても塗膜がすぐにはがれる、雨漏りが起きている
屋根の上は地上から見えにくいため、傷みの程度は屋根に上って確認しないとわかりません。ご自身で屋根に上るのは危険なので、点検は業者に依頼し、写真で状態を見せてもらいましょう。
屋根カバー工法の費用の内訳と項目
カバー工法の見積書は、主に次のような項目で構成されます。見積もりを比べるときは、合計金額だけでなく、どの項目が含まれているかを確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 足場 | 屋根の上で安全に作業するための足場の設置・解体、飛散防止のネット |
| 既存の役物の撤去 | 棟板金や雪止めなど、新しい屋根材を張る前に取り外す部材の撤去 |
| 防水シート(ルーフィング) | 既存の屋根の上に張る、新しい防水シート |
| 屋根材(本体) | ガルバリウム鋼板などの新しい屋根材と、その施工 |
| 板金(役物) | 棟・ケラバ(屋根の端)・軒先・壁との取り合いなどを納める板金 |
| 換気棟・雪止めなど | 必要に応じて取り付ける部材 |
| 廃材の処分 | 撤去した棟板金などの処分(屋根材を撤去する葺き替えより少ない) |
| 諸経費 | 現場の管理費や運搬費など |
屋根カバー工法の費用は、当社では屋根の状態を確認したうえで個別にお見積りしています(要相談)。インターネット上の「相場」は、屋根の面積や使う屋根材が違う家を平均した数字です。ご自宅の屋根に当てはまるとは限らないため、同じ条件で複数の見積もりを比べることが大切です。
見積書で確認したいポイント
- 屋根の面積(㎡)と、その算出の根拠
- 屋根材と防水シート(ルーフィング)の商品名
- 棟・ケラバ・軒先などの板金が含まれているか
- 足場の費用と、飛散防止のネットが含まれているか
- アスベストの事前調査の費用が含まれているか
- 屋根材メーカーの保証と、施工した会社の保証の内容
「屋根工事一式」のように、項目がまとめて書かれている見積書では、ほかの業者と比べることができません。項目ごとに数量と内容が書かれているかを確認しましょう。
カバー工法の費用が変わる5つの条件
- 屋根の面積:屋根材・防水シートの量と、作業の手間は面積に比例して増える
- 屋根の形と勾配:谷や棟が多い複雑な形、急な勾配の屋根は、板金の量と手間が増える
- 屋根材の種類とグレード:一般的なガルバリウム鋼板か、断熱材一体型や石粒付きの屋根材か
- 下地の状態:部分的な補修が必要な場合は、その費用が加わる
- 足場と立地:建物の高さや周囲の道路の状況で、足場の規模が変わる
足場は屋根工事の費用の中でも大きな割合を占めます。外壁塗装も考えている場合は、同じ時期に行うと足場を一度で済ませられます。自治体の住宅リフォームの補助制度が使える場合もあるので、熊本で外壁塗装に使える助成金は?で探し方も確認してみてください。
屋根の形も費用に影響します。切妻屋根のような単純な形にくらべ、寄棟屋根や谷の多い屋根は、板金の加工や取り付けの手間が増えるため、費用が上がりやすくなります。また、カバー工法は今の屋根に新しい屋根材の重量が加わるため、建物の耐震性への影響も考えて、軽い金属屋根材を選ぶのが一般的です。
屋根カバー工法の5つのメリット
撤去・処分の費用と手間を抑えられる
今の屋根材をはがさないため、撤去や廃材の処分にかかる費用が葺き替えより少なくなります。解体の作業がない分、工期も短くなる傾向があります。
住みながら工事ができる
屋根を開けたままにする時間がほとんどないため、工事中の雨の心配が少なく、住みながら工事を進められます。解体によるほこりや騒音も、葺き替えより抑えられます。
アスベストを含む屋根材を撤去せずに済む
古いスレート屋根の中には、アスベスト(石綿)を含むものがあります。カバー工法なら、既存の屋根材を撤去しないため、撤去にともなう飛散のリスクや、処分の費用を抑えられます(事前調査については後で説明します)。
断熱性・遮音性が高まる
屋根が二重になることで、夏の日射の熱や雨音が室内に伝わりにくくなります。断熱材一体型の屋根材を選べば、さらに効果が期待できます。
屋根の見た目と耐久性を一新できる
新しい屋根材になるため、色あせや割れが目立っていた屋根の見た目が一新されます。屋根材の性能も新しくなり、次のメンテナンスまでの期間を長く取りやすくなります。
屋根カバー工法の費用を抑える方法
屋根カバー工法の費用は、屋根の広さや形、選ぶ屋根材によって大きく変わります。工事の内容を減らして安くするのではなく、同じ内容で無駄な費用を減らすことが大切です。
同じ条件で相見積もりを取る
屋根材の製品名、ルーフィング(防水シート)の種類、棟・谷・破風・軒先などの板金の範囲をそろえて、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。条件がそろっていないと、総額だけを比べても、どこに差があるのかがわかりません。材料費と施工費(人件費)、足場代、廃材の処分費などの単価と数量が書かれているかも確認します。
外壁塗装と同じ時期に行う
屋根の工事にも足場が必要です。外壁塗装と同じ時期に行えば、足場を1回で済ませられます。当社は足場の設置まで自社で対応しています。足場代の決まり方は熊本の外壁塗装の費用で解説しています。
火災保険や支援制度を確認する
台風や強風で屋根材が飛ばされたなどの被害は、火災保険の補償の対象になることがあります。契約内容を保険会社に確認しましょう(雨漏りの修理に火災保険は使える?)。地震で被災した住宅の屋根の修理には、応急修理などの制度が使える場合があります(熊本の外壁塗装の助成金と支援制度)。
傷みが小さいうちに点検する
屋根材の割れやサビ、棟板金の浮きなどの傷みが小さいうちなら、塗装や部分補修で済むこともあります。屋根裏のシミや雨漏りが出る前に、定期的に点検を受けましょう。
1年あたりの費用で比べる
屋根の工事は、工事の金額だけでなく、次の工事までの年数で割った「1年あたりの費用」でも比べると判断しやすくなります。当社の料金ページでは、屋根塗装(30坪)はシリコン17万円〜、フッ素21万円〜、無機・フッ素27万円〜(税込・足場代別途)です(料金ページ)。カバー工法や葺き替えの費用は屋根の状態で大きく変わるため、現地調査のうえでお見積りします(要相談)。塗装で済む屋根か、カバー工法や葺き替えが必要な屋根かは、熊本の屋根塗装もあわせて参考にしてください。
カバー工法のあとのメンテナンス費用
カバー工法で新しくした金属屋根も、年月がたつと表面の塗膜が傷みます。定期的に点検し、色あせやサビが出てきたら塗装で保護すると、屋根を長持ちさせることができます。工事のあとの点検や保証の内容も、見積もりの段階で確認しておきましょう。
屋根カバー工法のデメリットと注意点
- 屋根が重くなる:軽量な金属屋根でも、今の屋根の重さに新しい屋根材の重さが加わる。建物の状態によっては、耐震性の面から葺き替えのほうが適していることもある
- 下地の傷みは直せない:野地板が雨漏りで腐っている場合、その上に重ねても根本的な解決にならない
- 次の工事が葺き替えになる:将来の工事では2枚分の屋根材を撤去することになり、費用がかさみやすい
- 雨漏りの原因調査が欠かせない:雨水の入り口を確かめずに重ねると、雨漏りが再発することがある
とくに屋根の重さは、地震のときの建物の揺れ方に関わります。築年数が古い住宅や、すでに重い屋根材が使われている住宅では、カバー工法で屋根を重ねるより、葺き替えで屋根を軽くしたほうがよい場合もあります。建物の状態を確認したうえで判断することが大切です。
カバー工法に向いている屋根・向かない屋根
| 向いている | 向かない |
|---|---|
| スレート屋根で、割れや反り、色あせが全体に進んでいる | 瓦屋根(形が凹凸で、上から重ねられない) |
| 古くなった金属屋根(トタンなど)で、下地はしっかりしている | 野地板など下地が腐っている、雨漏りが長く続いている |
| アスベストを含む可能性がある古いスレート屋根 | すでに一度カバー工法をしている屋根 |
雨漏りしている屋根の場合は、まず原因を調べてから工事を選ぶことが大切です。雨漏りの原因の見分け方は雨漏りの原因はどこ?、修理費用の考え方は雨漏り修理の費用はどう決まる?で解説しています。
屋根材のアスベストと事前調査
屋根や外壁の改修工事では、工事の前に、使われている建材にアスベスト(石綿)が含まれているかを調べる事前調査が法律で義務付けられています。さらに、2022年4月からは、一定規模以上の工事について、事前調査の結果を労働基準監督署と自治体に報告することも必要になりました。報告の対象は、改修工事では請負金額が税込100万円以上の工事などとされ、2023年10月以降に着工する工事では、事前調査は厚生労働大臣が定める講習を修了した人が行う必要があります(厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」)。
カバー工法は既存の屋根材を撤去しない工法ですが、棟板金の取り外しなどの作業があるため、事前調査が必要です。見積もりの段階で、事前調査をどのように行うかも確認しておきましょう。
屋根カバー工法の流れと工期の考え方
- 現地調査:屋根材の割れ・反り、下地の状態、雨漏りの有無、屋根の面積や形を確認する
- お見積り・ご説明:塗装・カバー工法・葺き替えのどれが合うかを含めて提案する
- アスベストの事前調査
- 足場の設置
- 棟板金など既存の部材の撤去
- 防水シート(ルーフィング)の施工
- 新しい屋根材の施工
- 棟・ケラバ・軒先などの板金の施工
- 完了確認・足場の解体
工期は、屋根の面積や形、天候によって変わりますが、撤去の工程が少ない分、葺き替えより短くなる傾向があります。雨の日は屋根の作業ができないため、梅雨や台風の時期は予備日を見込んでおくと安心です。

工事中の生活への影響
カバー工法は住みながら工事ができますが、足場の設置や屋根材の加工で音が出る日があります。工事の車の出入りや、足場のまわりでの洗濯物の扱いについても、事前に確認しておくと安心です。近隣の方へのあいさつや、工事の予定のお知らせも、施工する会社と相談しておきましょう。
当社の屋根の葺き替えの施工例は、施工事例で紹介しています。カバー工法と葺き替えのどちらが合うかは、屋根の傷みと下地の状態を確認したうえでご提案します。
費用で失敗しないための業者の選び方
- 屋根の上の写真を撮り、傷みの状態を具体的に説明してくれるか
- 塗装・カバー工法・葺き替えを比較したうえで、理由とあわせて提案してくれるか
- 見積書に、屋根の面積、屋根材の商品名、防水シート、板金、処分費が分けて書かれているか
- アスベストの事前調査について説明があるか
- 工事後の保証や、点検の対応について説明があるか
突然訪問してきて「屋根が壊れている」「今すぐ工事しないと危ない」と契約を急がせる業者や、「火災保険を使えば無料で直せる」と勧誘する業者には注意してください。保険が使えるのは、台風などの自然災害による破損に限られます(雨漏りの修理に火災保険は使える?)。
熊本市北区打越町では、経年劣化が進んだ屋根の調査を行い、新しい屋根材への葺き替えと下地の補修を行いました(施工事例)。屋根の状態によって最適な工事は変わるため、当社ではカバー工法が向いているかどうかも含めてご提案しています。
屋根の下地まで確認してくれるか
屋根の表面だけでなく、屋根裏の雨じみや、野地板の腐食の有無まで確認したうえで、カバー工法でよいのか、葺き替えが必要なのかを説明してくれる業者を選びましょう。下地が傷んだままカバー工法を行うと、あとから雨漏りが起こることがあります。
工事後の保証と点検
屋根材そのものの保証と、工事の保証の内容・期間を確認しましょう。工事のあとの定期点検があるか、不具合が出たときの連絡先がはっきりしているかも大切です。
屋根カバー工法のよくある質問
Q. カバー工法のあとも、屋根のメンテナンスは必要ですか?
必要です。ガルバリウム鋼板などの金属屋根も、年月とともに色あせやサビが出てきます。定期的に点検し、屋根材の種類に合わせて塗装などのメンテナンスを行うと長持ちします。
Q. 屋根塗装とカバー工法、どちらがいいですか?
屋根材の傷みが表面にとどまっていれば、塗装で十分なことが多く、費用も抑えられます。割れや反りが多い、塗装しても長持ちが期待できない、という場合はカバー工法を検討します。現地で屋根の状態を見て判断するのが確実です。
Q. 雨漏りしている屋根にもカバー工法はできますか?
下地の傷みが軽く、雨水の入り口を特定して処理できれば可能な場合もあります。ただし、野地板が腐っている場合は葺き替えが必要です。まず原因の調査を行ってから判断します。
Q. 太陽光パネルが載っている屋根でもできますか?
太陽光パネルを一度取り外し、屋根の工事のあとに付け直すことになります。パネルの脱着の費用がかかるほか、パネルのメーカーや設置した会社の保証に影響しないかを事前に確認する必要があります。当社では、ソーラーパネルを脱着して屋根を塗装した施工の経験もあります。
Q. カバー工法の屋根はどれくらいもちますか?
屋根材の種類や、建物の立地(海の近く、日当たりなど)によって変わります。屋根材メーカーの保証の年数や条件を確認し、定期的な点検とあわせて考えましょう。
Q. 見積もりは無料ですか?
当社では、現地調査・お見積りを無料で行っています。屋根に上って写真を撮り、塗装・カバー工法・葺き替えのどれが合うかをご説明します。
Q. 屋根カバー工法に確認申請は必要ですか?
国土交通省は、既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせる、いわゆるカバー工法による改修は、建築基準法に規定する「大規模の修繕」「大規模の模様替」には該当しないものと取り扱って差し支えないとしています(国土交通省住宅局建築指導課長 通知(令和6年2月8日))。ただし、屋根を構成するすべての材を改修する場合で、その部分の面積が過半になるときは大規模の修繕などに該当することがあります(国土交通省「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」)。工事の内容によって判断が変わるため、見積もりの際に確認しましょう。
まとめ|屋根の状態でカバー工法を判断
- 屋根カバー工法は、今の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事(重ね葺き)
- 葺き替えより撤去・処分の費用と工期を抑えやすく、住みながら工事ができる
- 屋根が重くなる、下地の傷みは直せないなどのデメリットもある
- 瓦屋根や、下地が傷んでいる屋根には向かない
- 費用は面積・形・屋根材・下地・足場で変わる。見積書の内訳を比べる
熊本で屋根のリフォームを検討している方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。
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