ALC外壁塗装の時期と費用|シーリングと塗料の選び方

鉄骨造の住宅やアパート、店舗・工場などで多く使われているALC(エーエルシー)の外壁。「塗装はいつ必要?」「サイディングやモルタルとは何が違う?」「費用はどれくらい?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。ALCは優れた特長をもつ一方で、水を吸いやすいという弱点があり、塗装とシーリングのメンテナンスがとても大切な外壁材です。

この記事では、ALC外壁の特徴とメリット・デメリット、塗装が必要な理由、劣化のサインと塗り替えの時期、適した塗料とシーリング、工事の手順と費用を、熊本で外壁塗装を行う株式会社佐藤塗装が、ALC協会の技術資料をもとに解説します。

ALC外壁とは?塗装前に知る特徴

ALCは「軽量気泡コンクリート」のことで、内部に細かな気泡を含んだ、軽いコンクリートのパネルです。ALC協会によると、原材料には珪石、セメント、生石灰や補強用の鉄線・ラス網が使われており、発売当初からアスベスト(石綿)は一切使用していないとされています(ALC協会「よくあるご質問」)。

ALCパネルは、鉄骨造の戸建て住宅やアパート、マンション、店舗、工場・倉庫などの外壁に広く使われています。パネルとパネルのつなぎ目(目地)が多く、そこをシーリング材でふさいでいるのが外観の特徴です。

ALCパネルは、一般に工場でつくられたパネルを建物に取り付けて外壁にします。表面に凹凸の模様があるものや、平らなものなど、デザインもいくつかあります。見た目がサイディングやコンクリートの壁に似ていることもあるため、ご自宅の外壁がALCかどうか分からない場合は、新築時の図面や仕様書で確認するか、現地調査でお尋ねください。

ALCとサイディング・モルタルの違い

外壁材主な材料と特徴メンテナンスのポイント
ALC気泡を含んだ軽いコンクリートのパネル。断熱性・耐火性が高いが、水を吸いやすい防水性のある塗装と、目地のシーリングの打ち替え
窯業系サイディングセメントと繊維質を主な原料にした板。デザインが豊富塗装と、つなぎ目のシーリングの打ち替え
モルタルセメントと砂を練って塗った壁。継ぎ目がないひび割れの補修と塗装

吸水しにくいパネルでも、仕上げは必要

ALCメーカーの中には、吸水性を少なくしたパネルを販売しているところもあります。ただし、ALC協会の技術資料では、吸水性を少なくしたALCパネルを使う場合にも、一般のパネルと同様な仕上げが必要としています(ALC協会)。「水を吸いにくいパネルだから塗装しなくてよい」というわけではありません。

ALC外壁のメリットとデメリット

ALC外壁のメリット

  • 軽くて、建物への負担が小さい
  • 断熱性が高い。ALC協会によると、ALCの熱伝導率は0.17W/m・Kで、普通コンクリート(1.6W/m・K)の約10倍の断熱性能がある(ALC協会
  • 不燃材料で、耐火性に優れる(同)
  • 地震のとき、鉄骨の変形にパネルが追従しやすい取付け構法が標準とされている(同)

ALC外壁のデメリット

ALC協会の技術資料では、ALCパネルは軽量・断熱・不燃・耐火などの優れた特長をもつ一方で、表面強度が小さい、欠けやすい、吸水性が大きいなど、配慮が必要な部分もあるとしています(ALC協会「ALCパネルの仕上げおよび防水(第9版)」)。

  • 水を吸いやすく、防水性のある仕上げが欠かせない
  • 表面が欠けやすく、石張りやモルタル塗りなど重い仕上げには向かない
  • 目地が多く、シーリング材の傷みから雨水が入りやすい
  • パネルの防水は塗膜に頼るため、塗装の劣化を放置できない

ALC外壁に塗装が必要な理由

ALC協会の技術資料は、ALCパネルは吸水しやすい材料であることから、耐久性を維持させるために、外壁面には防水性のある仕上げが必要としています。仕上げや防水が不適切な場合は、外壁の漏水や、ALCパネルの耐久性低下の原因になるとも説明しています(ALC協会)。

さらに、ALCパネルは、仕上げ材や目地のシーリング材の防水性能が低下すると漏水などの不具合を生じることがあるため、外装のメンテナンスは劣化や傷み具合に応じて定期的に実施することが必要とされています(ALC協会「よくあるご質問」)。ALC協会は、ALCパネルの耐用年数は使用条件や仕上げ材・シーリングのグレード、メンテナンスの有無によって異なり、適切な使用条件のもとで定期的なメンテナンスを施した場合は、50年を超える長期使用も可能としています(同)。ALC外壁を長く使うためには、塗装とシーリングのメンテナンスが前提と考えましょう。

ALC外壁塗装の時期と劣化サイン

次のような症状が見られたら、塗り替えやシーリングの打ち替えを考える時期です。築10年を過ぎたら、目立つ症状がなくても一度点検を受けておくと安心です。症状が出ている箇所を放置すると、雨漏りが発生するリスクが高まります。

症状状態と注意点
チョーキング手でさわると白い粉が付く。塗膜の防水性が落ちてきたサイン
塗膜のはがれ・膨れ塗膜が浮き、ALCが水を吸いやすい状態
目地のシーリングのひび割れ・すき間目地から雨水が入り、雨漏りの原因になる
パネルのひび割れ・欠け欠けた部分から水が入り、傷みが広がる
内部の鉄線のサビ表面が割れたり、サビ汁が出たりすることがある
室内の雨染みすでに雨水が入り込んでいる可能性がある

ALC協会は、建物の機能と美観を永く保つためには、外装仕上げ材の耐久性能に見合った期間での診断とメンテナンスが必要としています(ALC協会)。塗り替えの年数の考え方は外壁塗装は何年ごと?で解説しています。

熊本の気候とALC外壁

熊本市は、気象庁の平年値(1991〜2020年)で年間降水量が2,007.0mm、6月・7月は平均湿度が76%と、雨と湿気の多い地域です(気象庁「平年値(熊本)」)。水を吸いやすいALC外壁では、塗膜やシーリングの小さな傷みから雨水が入りやすくなります。梅雨や台風の前に、目地のシーリングや塗膜のはがれを点検しておくと安心です。大きな地震のあとは、パネルのひび割れや、目地のすき間が出ていないかも確認しましょう。

寒冷地との違い

ALC協会は、寒冷地では雨水や結露水などの水分が凍害の原因になることがあるため、外部の仕上げに、壁の中の湿気を外へ逃がす透湿性防水形塗材を採用するよう案内しています(ALC協会「よくあるご質問」)。熊本市のような温暖な地域では凍害の心配は比較的少ない一方で、雨と湿気の多さへの対策、つまり防水性のある塗膜とシーリングの維持が特に重要になります。

ALC外壁に適した塗料と仕上げ

ALC協会は、ALCパネル外壁の仕上塗材は、防水性・弾性が高いものを選ぶよう案内しています(ALC協会「よくあるご質問」)。また、仕上げ塗材で仕上げる場合は下地調整が必要で、ALCパネルは放湿性・通気性があるため、パネルの両面を密閉する仕上げは避けるよう求めています(ALC協会の技術資料)。

  • 防水性・弾性の高い仕上げを選ぶ
  • 下地調整を行い、ALCの細かな気泡や凹凸を整えてから塗る
  • ALCに対応した下塗り材を使う
  • 重い仕上げは避ける

当社が加盟するアステックペイントの外壁用塗料では、「超低汚染リファイン1000Si-IR」「超低汚染リファイン1000MF-IR」の対応素材にALCが含まれています(アステックペイント「超低汚染リファイン1000Si-IR」同「超低汚染リファイン1000MF-IR」)。下塗りの役割と手順は外壁塗装の下塗り(シーラー)で解説しています。

ALC外壁はシーリングも重要

ALC外壁は目地が多いため、塗装と同じくらい、シーリング(コーキング)のメンテナンスが大切です。ALC協会は、雨がかりとなるALCパネルの目地にはシーリング材を充填し、パネル間のシーリング材には、通常ポリウレタン系(JIS A 5758 耐久性区分8020)以上で、モジュラスの低いものを使うよう案内しています(ALC協会「よくあるご質問」)。技術資料でも、よりグレードの高いポリウレタン系や変成シリコーン系のシーリング材が望ましいとしています(ALC協会の技術資料)。

シーリングの表面に塗装で仕上げることが一般的なため、塗料との相性も考えて材料を選びます。シーリングの打ち替えの費用と方法はシーリング打ち替えの費用は?で解説しています。

目地のシーリングの役割

ALC外壁の目地のシーリングには、パネルとパネルのすき間から雨水が入るのを防ぐ役割と、地震や温度変化による建物の動きを吸収する役割があります。シーリングが硬くなったり、ひび割れたり、パネルからはがれたりすると、そこから雨水が入り込みます。水を吸いやすいALCでは、目地から入った水がパネルの傷みを早めるため、塗装と同じ時期にシーリングの状態を必ず確認しましょう。

ALC外壁の塗装で使う材料の組み合わせ

工程材料の役割選び方のポイント
下地調整ALCの細かな気泡や凹凸を整えるALCに適した下地調整材を使う
シーリング目地から雨水が入るのを防ぐポリウレタン系以上で、モジュラスの低いもの
下塗り上塗り塗料とALCを密着させるALCに対応した下塗り材を選ぶ
上塗り防水性を保ち、紫外線からALCを守る防水性・弾性の高い仕上げを選ぶ

ALC外壁の塗装の手順

  1. 現地調査:塗膜・シーリング・パネルのひび割れや欠け、雨漏りの有無を確認する
  2. 足場の設置・高圧洗浄:汚れを落とし、十分に乾燥させる
  3. 下地補修:パネルのひび割れや欠けを補修する
  4. シーリングの打ち替え:古いシーリングを撤去し、新しいシーリング材を充填する
  5. 下地調整・下塗り:ALCに対応した下塗り材で密着を高める
  6. 中塗り・上塗り:防水性のある塗料を塗り重ねる
  7. 完了確認:仕上がりと、目地まわりを確認する

塗装の前には、窓やサッシ、ベランダの床、植木などを汚さないよう、ビニールやテープで覆う養生を行います。職人が工程ごとに乾燥の時間を守り、下地調整から上塗りまで丁寧に仕上げることが、塗膜を長持ちさせるポイントです。

高圧洗浄のあとは、水を吸いやすいALCを十分に乾かしてから塗装することが大切です。洗浄の注意点は外壁の高圧洗浄の注意点と費用、ひび割れの補修は外壁のひび割れ補修で解説しています。

ALC外壁の塗り替えで後悔しやすいケース

よくある後悔原因防ぐポイント
塗り替えてすぐ、目地から雨漏りしたシーリングを打ち替えず、塗装だけで済ませた目地の状態を確認し、必要ならシーリングを打ち替える
数年で塗膜が膨れた下地が十分に乾かないうちに塗った洗浄後の乾燥と、天候の管理を徹底する
パネルの欠けから傷みが広がった欠けやひび割れを補修せずに塗った塗装の前に、欠け・ひび割れを補修する
塗膜がはがれやすかったALCに合った下塗り材を使わなかったALCに対応した下塗り材と、下地調整を行う

アパート・店舗・工場の工事で気をつけること

ALCはアパートや店舗、工場にも多く使われています。入居者や来店客、従業員がいる建物では、塗料のにおいや作業の音、出入り口の安全確保などへの配慮が必要です。当社では、工程や作業時間を事前にご相談し、営業や生活への影響を抑えながら工事を進めます。工場・倉庫の外壁塗装の注意点は工場・倉庫の外壁塗装で解説しています。

日ごろの点検のチェックリスト

  • 外壁を手でなでて、白い粉(チョーキング)が付かないか
  • 目地のシーリングに、ひび割れやすき間、はがれがないか
  • パネルの角や端に、欠けやひび割れがないか
  • サビ汁のような茶色い筋が出ていないか
  • 室内の壁や天井に、雨染みやカビがないか

高い位置は無理に確認せず、地上や窓から見える範囲で見て回りましょう。気になる症状があれば、写真を撮っておくと、点検の際に状態を伝えやすくなります。

ALC外壁の塗装の費用

当社の料金ページに掲載している外壁塗装の目安です。足場代は別途で、正確な金額は現地調査のうえでお見積りします。ALC特有の下地調整や、目地のシーリングの打ち替えの費用は、目地の長さや傷み具合で変わるため、要相談です。

外壁塗装30坪40坪
ウレタン52万円〜60万円〜
ラジカルシリコン58万円〜68万円〜
無機・フッ素82万円〜92万円〜

ALCはアパートや工場・倉庫にも多い外壁材です。アパートの費用の考え方はアパートの外壁塗装の費用相場、工場・倉庫は工場・倉庫の外壁塗装、費用の内訳は熊本の外壁塗装の費用相場で解説しています。

シーリングの打ち替えの費用は、一般に目地の長さ(m)に単価をかけて計算します。ALC外壁は目地が多いため、同じ面積のサイディングの外壁と比べて、シーリングの長さが長くなることがあります。見積書では、打ち替える目地の長さと、使うシーリング材の種類を確認しましょう。

パネルの傷みが大きく、塗装では防水性を保てない場合は、既存の外壁の上に新しい外壁材を張るカバー工法などのリフォームが検討されることもあります。どの方法がおすすめかは、ALCパネルの状態や建物の構造、屋根やベランダの防水の状態もあわせて確認したうえでご説明します。

見積書で確認したいポイント

  • シーリングは「打ち替え」か「増し打ち」か、目地の長さ(m)
  • シーリング材の種類(ポリウレタン系・変成シリコーン系など)
  • 下地調整・下地補修の内容
  • 下塗り材と上塗り塗料の製品名、塗る回数
  • 足場代と、塗装する面積
  • 工事の保証の内容と期間

「外壁が崩れる」などと不安をあおり、その場で契約をせまる業者には注意しましょう(国民生活センター)。

ALC外壁の雨漏り修繕事例

熊本市中央区の店舗ビルの雨漏り修繕では、外壁のひび割れと、ALCの目地のシーリング材の劣化から雨水が入り、店舗の内壁に水染みが広がっていました。ロープアクセス工法を採用して足場を組まずに外壁のひび割れとシーリングを補修し、雨漏りで傷んだ内壁のクロスも張り替えています。ALC外壁では、目地のシーリングの劣化が雨漏りの原因になりやすいことを示す事例です。

雨漏りの修理の進め方は熊本の雨漏り修理で解説しています。当社には雨漏り鑑定士が在籍しており、雨漏りの原因調査にも対応しています。ほかの事例は施工事例でご覧いただけます。

ALC外壁塗装のよくある質問

Q. ALCにアスベストは含まれていますか?

ALC協会によると、ALCパネルは発売当初からアスベスト(石綿)を一切使用していない建材とされています(ALC協会「よくあるご質問」)。ただし、塗装やシーリングなど、ほかの材料については、建物ごとに確認が必要な場合があります。

Q. ALC外壁は自分で塗装できますか?

おすすめできません。ALC外壁は、下地調整やシーリングの打ち替え、防水性のある塗料の選択が仕上がりと耐久性を左右します。また、2階以上の外壁の作業には足場が必要で、転落の危険もあります。

Q. ALC外壁の色は、どう選べばいいですか?

ALCは目地が多いため、目地の見え方も含めて色を選びます。凹凸の模様があるパネルは、影ができて見本より濃く見えやすいので、大きな見本や試し塗りで確認しましょう。色選びのコツは外壁塗装の色選びで失敗しないコツで紹介しています。

Q. ALC外壁は、何年ごとに塗装すればいいですか?

ALC協会は、外装仕上げ材の耐久性能に見合った期間での診断とメンテナンスが必要としています(ALC協会)。塗料メーカーが示す期待耐用年数は、例えば「超低汚染リファイン1000Si-IR」が15〜18年、「超低汚染リファイン1000MF-IR」が20〜24年です(アステックペイント)。年数だけでなく、チョーキングや目地のひび割れなどのサインが出たら点検を受けましょう。

Q. 足場を組まずに補修できますか?

部分的な補修であれば、建物の条件によっては、ロープアクセス工法など足場を組まない方法で対応できる場合があります。当社の熊本市中央区の店舗ビルの雨漏り修繕でも、ロープアクセス工法を採用して足場を組まずに補修しました。外壁全体の塗り替えは、足場を組んで行うのが一般的です。

Q. 見積もりは無料ですか?

はい。現地調査・お見積りは無料です。外壁の塗膜だけでなく、目地のシーリングやパネルの欠け、雨漏りの有無もあわせて確認し、写真を見ていただきながらご説明します。

まとめ|ALC外壁塗装は防水が要

  • ALCは軽量・断熱・不燃・耐火に優れる一方、水を吸いやすく、防水性のある仕上げが必要
  • 塗膜やシーリングの防水性能が落ちると、漏水などの不具合につながる
  • 仕上塗材は防水性・弾性の高いものを選び、下地調整を行う
  • 目地には、ポリウレタン系以上でモジュラスの低いシーリング材を使う
  • 外壁塗装の目安は30坪でウレタン52万円〜など(足場代別途)。シーリングや下地調整は要相談

株式会社佐藤塗装は、熊本市北区に本社を置き、2023年3月には熊本市南区城南町にも営業所を開設した塗装会社です。足場の設置まで自社で対応し、劣化診断士が外壁とシーリングの状態を写真でご説明します。ALC外壁の傷みが気になったら、お気軽にご相談ください。無料の現地調査・お見積りのご相談はこちら