外壁塗装の下塗りは、上塗りの塗料をしっかり密着させ、下地の吸い込みを抑えるための大切な工程です。下塗りの役割と3回塗りの考え方、シーラー・プライマー・フィラーなど下塗り材の種類と選び方、色や乾燥時間、正しい塗り方と注意点を、熊本の塗装会社が解説します。
この記事は、熊本で外壁・屋根の塗装を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。当社はアステックペイントの加盟店で、外壁や屋根の状態に合わせて下塗り材を選んでいます。
外壁塗装の下塗りとは?役割とシーラー
外壁塗装は、一般的に下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りで仕上げます。シーラーは、このうち最初に塗る下塗りの塗料で、英語の「seal(封をする)」が語源です。仕上げの色をつける塗料ではなく、下地と上塗りの塗料をつなぐ役割を持っています。
- 密着:下地と上塗りの塗料の接着剤のような役割を果たし、剥がれを防ぐ
- 吸い込み止め:傷んだ下地が塗料を吸い込むのを抑え、上塗りのムラや塗膜の厚み不足を防ぐ
- 下地を固める:劣化してもろくなった表面を固めて、塗装できる状態に整える
下塗りを省いたり、下地に合わないシーラーを使ったりすると、数年で塗膜が剥がれることがあります。剥がれの原因については外壁塗装が剥がれる原因は?で解説しています。
下塗り材の種類(シーラーなど)
| 下塗り材 | 主な役割 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| シーラー | 下地の吸い込みを抑え、上塗りとの密着を高める | 外壁(サイディング・モルタル・コンクリート)、屋根、軒天、室内の壁など |
| プライマー | 素材に塗料を密着させる | 金属部のサビ止め、シーリングの打ち替え前の下塗りなど |
| フィラー | 厚みをつけて細かな凹凸やひび割れを埋める | モルタル外壁のヘアクラック、凹凸のある下地 |
製品によっては「シーラープライマー」のように、両方の役割を持つものもあります。どの下塗り材を使うかは、下地の素材と傷み具合、上塗りの塗料との組み合わせで決めます。
水性・溶剤、一液・二液の違い
シーラーには、水で薄める水性タイプと、シンナーなどで薄める溶剤タイプがあります。また、そのまま使える一液型と、主剤と硬化剤を混ぜて使う二液型があります。
たとえば、当社でよく使うアステックペイントの「エポパワーシーラー」は、水性形一液の屋根・外壁用エポキシ系下塗材で、コンクリート、モルタル、ALC、窯業系サイディング、アスファルトシングル、ブロック塀など、幅広い下地に使えるとされています。色は透明・白・グレーがあります(アステックペイント「エポパワーシーラー」製品情報)。
下塗り材の色(白・透明・グレー)
下塗り材には、透明のものと、白やグレーなど色のついたものがあります。透明の下塗り材は下地の吸い込みを抑えることが中心で、色のついた下塗り材は下地の色を隠す効果もあります。当社でよく使うエポパワーシーラーにも、透明・白・グレーがあります。
下塗りの色は仕上がりの色に影響することがあるため、上塗りの色や下地の状態に合わせて選びます。どの色の下塗り材を使うのか気になる場合は、使う製品と色を業者に確認してみましょう。
機能をもつ下塗り材(弾性・防カビ・補強)
下塗り材の中には、密着や吸い込み止めのほかに、さまざまな機能をもつものがあります。たとえば、伸びのある微弾性フィラーは、細かなひび割れを埋めて凹凸を調整し、下地の防水性を補います。防カビ・防藻の成分を含むもの、傷んだ下地に浸透して表面を補強・強化するものもあります。
どの機能が必要かは、外壁材の傷み具合や、カビ・コケの出やすさなどの条件で変わります。付着力や耐久性の数字は製品ごとに異なるため、メーカーの製品情報で確認しましょう。
下塗り材の選び方(下地ごと)
| 下地 | 選び方のポイント |
|---|---|
| 窯業系サイディング・モルタル・ALC | 上塗りの塗料と組み合わせが決められた外壁用のシーラーを選ぶ |
| コンクリート | 吸い込みを抑え、アルカリに強い下塗り材を選ぶ |
| スレート屋根 | 劣化して吸い込みが激しい屋根材には、屋根用の浸透性の高いシーラーを選ぶ |
| 遮熱塗料で仕上げる屋根 | 遮熱塗料の性能を生かすため、メーカーが指定する専用の下塗り材を使う |
| 軒天・室内の壁 | 素材(ケイカル板・石膏ボードなど)に合った下塗り材を選ぶ |
いちばん大切なのは、上塗りの塗料のメーカーが指定する下塗り材との組み合わせを守ることです。組み合わせが合わないと、上塗りの塗料の性能が十分に発揮されません。
屋根・金属部の下塗り
金属の屋根や鉄部には、サビを防ぐ性能をもつ下塗り材(さび止めプライマー)を使います。たとえばアステックペイントの「エポパワーメタルJY」は、弱溶剤形二液の金属屋根・外壁用の変性エポキシ系下塗材で、カラー鋼板やガルバリウム鋼板、ステンレスなどに使えるとされています(アステックペイント「エポパワーメタルJY」製品情報)。
スレートやセメント瓦の屋根は、傷んで吸い込みが激しくなっていることが多いため、浸透して下地を固めるタイプの下塗り材を選びます。屋根材の種類によって合う下塗り材が違うため、現地で屋根材を確認してから決めます。
上塗りの塗料との組み合わせ
下塗り材は、上塗りの塗料の樹脂(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機など)や、水性か油性(溶剤)かによって、合うものが決まっています。耐久性の高い無機塗料を選んでも、下塗り材との組み合わせが合わなければ、上塗りの性能は十分に発揮されません。上塗りの塗料のメーカーが決めている組み合わせと施工の条件を守ることが基本です。塗料のグレードの違いは外壁・屋根塗装の塗料ランク、塗料を重ねるときの相性は外壁塗装の重ね塗りで解説しています。
下塗りの手順とシーラーの塗り方
- 高圧洗浄:汚れやチョーキングの粉、コケを洗い流し、よく乾かす
- 下地の補修:ひび割れや欠け、シーリングの傷みを補修する
- 養生:窓や床など、塗料が付いてはいけない部分を覆う
- シーラーの準備:よくかき混ぜる(二液型は決められた割合で混ぜる)
- 塗装:ローラーや刷毛で、塗り残しやムラがないように均一に塗る。吸い込みが激しい面は重ねて塗る
- 乾燥:メーカーが指定する乾燥時間をとってから、中塗りに進む
乾燥時間は製品ごとに決められています。たとえばエポパワーシーラーは、メーカーの製品情報で塗り重ねまでの乾燥時間が2時間以上とされています。外壁塗装全体の工程は外壁塗装の工程と流れで紹介しています。
下塗りの乾燥時間と作業の進み方
下塗りのあとは、製品ごとに決められた時間をあけてから中塗りに進みます。エポパワーシーラーは2時間以上、エポパワーメタルJYは4時間以上7日以内(25℃のとき)とされています。気温が低い日や湿度が高い日は乾きに時間がかかるため、同じ日に中塗りまで進むこともあれば、翌日になることもあります。
熊本の梅雨の時期は雨の日が続き、下地も乾きにくくなります。乾燥の時間を短くして工程を急ぐと、密着不良や膨れの原因になります。膨れの原因は塗装の膨れの原因で解説しています。
下塗りの注意点(乾燥・天候)
- 洗浄後、下地が十分に乾いてから塗る(水分が残ると密着不良の原因になる)
- 薄すぎず、厚すぎず、決められた量を均一に塗る
- 雨の日や、気温が低い日・湿度が高い日は塗らない
- 乾燥時間を守らずに中塗りを重ねない
- 上塗りの塗料と、メーカーが指定する組み合わせを守る
とくにチョーキングが進んだ外壁は、粉が残っているとシーラーが密着しません。チョーキングについてはチョーキング現象とは?で解説しています。
見積書で下塗りを確認する
- 下塗り材の製品名が書かれているか
- 下塗りの回数(吸い込みが激しい面は2回など)
- 外壁・屋根・付帯部で、それぞれの下塗り材が分かれているか
- 「下塗り一式」のように、中身がわからない書き方になっていないか
下塗り・中塗り・上塗りを重ねるときの塗料の相性は外壁塗装の重ね塗りで解説しています。
当社の下塗りの施工事例
- 菊池市泗水の賃貸アパート:高圧洗浄のあと、下塗りにエポパワーシーラーを使って旧塗膜と新しい塗膜の密着性を確保し、超低汚染リファイン1000Si-IRで仕上げ(施工事例)
- 熊本市東区昭和町の屋根:傷んだ下地と新しい塗膜の密着性を確保するため、下塗りにエポパワーシーラーJYを塗布(施工事例)
- 阿蘇郡南小国町の別荘の屋根:退色して塗料を吸い込みやすくなった屋根材に、プレミアムSSシーラープライマーで下地を整えてから上塗り(施工事例)
- 阿蘇地域の施設のドーム:ケレン・補修のあとミラクシーラーを塗り、マスチック工法で模様を復元(施工事例)
- 菊池郡大津町の団地の軒天:補修した面にシーラーを塗って下地を固め、吹付で仕上げ(施工事例)
DIYで下塗りをするときのポイント
ブロック塀や物置、室内の壁など、小さな面積ならDIYでシーラーを塗ることもできます。その場合は、上塗りに使う塗料のメーカーが指定する下塗り材を選び、説明書に書かれた塗る量と乾燥時間を守りましょう。
住宅の外壁全体や屋根は、足場が必要な高所作業で危険なうえ、下地の状態に合わせた下塗り材の選定や、洗浄・補修などの前処理が仕上がりを大きく左右します。外壁や屋根の塗装は、プロに任せるのが安心です。
外壁塗装の下塗りに関するよくある質問
Q. シーラーは何回塗ればいいですか?
基本は1回ですが、下地の吸い込みが激しい場合は、ムラが出ないように2回塗ることもあります。下地の状態を見て判断します。
Q. 透明のシーラーと白いシーラーの違いは?
透明のシーラーは下地の吸い込みを抑えることが中心で、白いシーラーは下地の色を隠す効果もあります。上塗りの色や下地の状態によって使い分けます。
Q. シーラーを塗らないとどうなりますか?
上塗りの塗料が下地に吸い込まれてムラになったり、密着が悪くて早く剥がれたりする原因になります。見積書で、下塗りの工程と下塗り材の名前が書かれているかを確認しましょう。
Q. 下塗りを省く業者はいますか?
下塗りは仕上がりから見えないため、省かれても気づきにくい工程です。見積書に下塗りの記載があるか、工事中の写真で下塗りの工程を確認できるかをチェックしましょう。当社では、着工前から完了までの作業状況の写真と、使った塗材をまとめた報告書をお渡ししています。
まとめ|下塗りで仕上がりが決まる
- シーラーは、上塗りを密着させ、下地の吸い込みを抑える下塗りの塗料
- プライマーは密着、フィラーは凹凸を埋める役割が中心
- 上塗りの塗料と、メーカーが指定する下塗り材の組み合わせを守る
- 洗浄・乾燥・補修をしたうえで、決められた量と乾燥時間を守って塗る
- 外壁や屋根の塗装は、下塗り材の選定も含めてプロに任せると安心
熊本で外壁・屋根の塗装を検討している方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

