外壁塗装の膨れは、塗膜の下に水分や空気がたまり、塗膜がぷくっと浮き上がる症状です。膨れが起こる原因(雨水の浸入・乾燥不足・下塗り不足・熱・カビなど)と、放置するリスク、補修方法、再発を防ぐための予防策を、熊本の塗装会社が施工事例とあわせて解説します。
この記事は、熊本で外壁・屋根の塗装を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。当社には雨漏り鑑定士が在籍し、膨れの原因が雨水の浸入にある場合の調査にも対応しています。
塗装の膨れとは?剥がれとの違い
塗装の膨れは、塗膜が外壁材から部分的に離れ、水ぶくれのように盛り上がる状態です。指で押すとへこんだり、中に水が入っていたりすることもあります。
| 症状 | 状態 |
|---|---|
| 膨れ | 塗膜が外壁材から離れて盛り上がる。塗膜はまだつながっている |
| 剥がれ | 膨れた塗膜が破れたり、塗膜が外壁材から完全にはがれ落ちたりする |
| 外壁材の浮き | 塗膜ではなく、サイディングやモルタル、タイルそのものが下地から離れる |
膨れを放置すると、多くの場合は剥がれに進みます。剥がれの原因と補修は外壁塗装が剥がれる原因、外壁材そのものの浮きは外壁の浮きの原因で解説しています。
塗装が膨れる主な原因
1. 雨水や湿気が塗膜の下に入る
外壁のひび割れやシーリングのすき間、塗膜の傷から雨水が入ると、塗膜の下に水分がたまり、膨れの原因になります。また、壁の内側からの湿気が外壁材を通って出てこようとして、塗膜を押し上げることもあります。
2. 下地が乾かないうちに塗装した
高圧洗浄のあとや雨のあと、外壁材が十分に乾かないうちに塗装すると、中に残った水分が蒸発しようとして塗膜を押し上げます。国の公共建築工事標準仕様書に対応した塗料メーカーの仕様書では、塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露するなど塗料の乾燥に適さない場合は、原則として塗装を行わないとされ、外部の塗装は降雨のおそれがある場合や強風時には原則として行わないとされています(日本ペイント「公共建築工事標準仕様書対応 塗装仕様書」)。
3. 塗り重ねの乾燥時間が足りない
下塗り・中塗り・上塗りのそれぞれの工程では、塗料ごとに決められた乾燥時間(塗り重ねの間隔)があります。たとえば日本ペイントのさび止め塗料「ハイポンファインプライマーⅡ」は、23℃で4時間以上7日以内とされています(日本ペイント「ハイポンファインプライマーⅡ」)。乾燥が不十分なまま次の塗料を重ねると、中の溶剤や水分が逃げ場を失い、膨れの原因になります。
4. 下塗り不足・塗料の相性が悪い
下塗りが足りなかったり、今の外壁や古い塗膜に合わない塗料を使ったりすると、塗膜の密着が悪くなり、膨れや剥がれにつながります。塗料どうしの相性については外壁塗装の重ね塗りと塗料の相性、下塗り材については外壁塗装の下塗り(シーラー)で解説しています。
5. 熱による水蒸気の膨れ
日射で外壁が強く熱せられると、塗膜の下にわずかに残った水分が水蒸気になって膨らみ、塗膜を押し上げることがあります。熱をためやすい濃い色の外壁や、日当たりの強い南面・西面、熱を伝えやすい金属の部分で起こりやすい膨れです。
6. 汚れやカビの上から塗装した
高圧洗浄が不十分で、汚れやカビ、チョーキングの粉が残ったまま塗装すると、塗料が外壁材に密着せず、膨れや剥がれの原因になります。
膨れが起こりやすい場所
- 日当たりの強い南面・西面:熱で塗膜の下の水分が水蒸気になりやすい
- 北面や日陰の面:乾きにくく、湿気が残りやすい
- 窓まわりやひび割れの近く:すき間から雨水が入りやすい
- 鉄部や金属の部分:熱を伝えやすく、サビが塗膜を押し上げることもある
- ベランダ・バルコニーの床や屋上:防水層の下に水分や空気がたまりやすい
防水層の膨れ(ベランダ・屋上)
外壁の塗膜だけでなく、ベランダや屋上の防水層にも膨れが起こります。下地のコンクリートに含まれた水分が、日射で温められて水蒸気になり、防水層を押し上げるのが主な原因です。屋上では、下地の水蒸気を逃がす通気緩衝工法が使われることがあります。詳しくは通気緩衝工法とは?、ベランダの防水はFRP防水とは?で解説しています。
膨れの原因を見分けるポイント
膨れの原因は、出てきた時期や、膨れの中身、出ている場所から、ある程度しぼり込めます。
| 見るポイント | 考えられる原因 |
|---|---|
| 塗装してから数日〜数か月で出た | 下地の乾燥不足、塗り重ねの乾燥時間不足、塗料の相性など、施工に関わる原因 |
| 塗装から数年たって出た | ひび割れやシーリングからの雨水の浸入、塗膜の劣化、熱 |
| 中に水がたまっている | 雨水や、壁の内側からの湿気 |
| 中が空洞で、暑い日にふくらみが大きくなる | 塗膜の下に残った水分が、熱で水蒸気になっている |
| ひび割れ・シーリング・窓まわりの近くに集中している | すき間から入った雨水 |
最終的な原因の判断は、現地で外壁の状態や雨水の入り口を確認して行います。原因を取り違えたまま補修すると、同じ場所がまた膨れてしまいます。
熊本の気候と膨れ
熊本は梅雨の時期に雨の日が長く続き、外壁が湿った状態になりやすい地域です。夏は日差しが強く、南面や西面の外壁は高温になります。湿気と熱がそろうと、塗膜の下の水分が水蒸気になって膨れが起こりやすくなります。梅雨の時期に工事をする場合は、晴れ間の乾燥の具合を見極め、工程に余裕をもたせることが大切です。
膨れを放置するリスク
- 膨れた塗膜が破れて剥がれ、外壁材がむき出しになる
- 破れた部分から雨水が入り、外壁材や下地が傷む
- 膨れの範囲が広がり、補修の範囲も費用も大きくなる
- 原因が雨漏りの場合、壁の中や室内に被害が広がる
膨れの下から水が出てくる、室内にシミがあるといった場合は、雨漏りの可能性もあります。雨漏りの原因は雨漏りの原因はどこ?で解説しています。
膨れは見た目の問題だけでなく、塗膜が建物を守る役割を果たせなくなっているサインです。表面だけを再塗装しても、内部に水分が残っていれば、同じ場所がまた膨らんでしまいます。経年劣化による膨れも含めて、原因に合った対処をすることが大切です。
塗装の膨れの補修方法と手順
膨れの補修は、まず原因を確かめてから行います。原因を取り除かずに上から塗り直すと、同じ場所がまた膨れてしまいます。
- 原因を調べる:雨水の入り口(ひび割れ・シーリング)、下地の水分、塗料の相性などを確認する
- 膨れた塗膜を取り除く:ケレンで膨れや浮いた塗膜を削り取る
- 下地を補修する:ひび割れの補修、シーリングの打ち替え、段差の調整などを行う
- 十分に乾燥させる:外壁材の中の水分が抜けるのを待つ
- 下塗り:下地に合った下塗り材で、吸い込みを抑えて密着性を高める
- 上塗り:周りの模様や色に合わせて仕上げる
膨れが一部だけなら部分補修で対応できますが、広い範囲に出ている場合や、塗膜全体の密着が弱っている場合は、古い塗膜をしっかり落としてから全面を塗り直すことを検討します。
部分補修と全面の塗り替えの判断
膨れが一部だけで、周りの塗膜がしっかり密着していれば、部分補修で対応できます。ただし、部分補修は、周りの色やツヤとの差が出やすい点に注意が必要です。膨れがあちこちに出ている場合や、塗膜全体の密着が弱っている場合は、全面の塗り替えを検討します。
補修費用の考え方
膨れの補修の費用は、範囲、原因(雨水の入り口の補修が必要か)、足場の要否、全面を塗り替えるかどうかで大きく変わるため、現地で状態を確認したうえでお見積りしています(要相談)。全面の塗り替えになる場合、当社の料金ページでは、外壁塗装(30坪)の目安をウレタン52万円〜、ラジカルシリコン58万円〜、無機・フッ素82万円〜としています(税込・足場代別途、料金ページ)。
膨れを補修した施工事例
阿蘇地域の施設のドームでは、外装の膨れや剥がれが各所に点在していました。曲面の多いドームは、膨れや剥がれがある状態でそのまま塗装すると、再発や仕上がりのムラにつながりやすい部位です。そこで、高圧洗浄で汚れやもろくなった部分を取り除き、膨れている箇所をケレンして下地を補修したうえで、ミラクシーラーで下地を固めて密着性を確保しました。その後、マスチック工法で既存の模様(パターン)に近づけて復元し、上塗りで仕上げています(施工事例を見る)。
塗り替え前に確認したいこと
- 以前の塗装で膨れや剥がれが出ていないか(出ていれば原因を先に調べる)
- 外壁にひび割れやシーリングの切れがないか
- 室内に雨染みがないか
- 今の塗膜の種類と、新しく塗る塗料の相性
- 工程表に、洗浄後の乾燥や塗り重ねの間隔が見込まれているか
見積もりや現地調査の際に、こうした点を業者に質問してみると、工程を丁寧に考えているかどうかがわかります。
膨れを防ぐための予防策
- 気温・湿度・天候を確認し、雨の前後や結露の出る時間帯は塗装しない
- 高圧洗浄のあとは、外壁が十分に乾いてから塗装する
- 塗料ごとの塗り重ねの乾燥時間を守る
- 下地や古い塗膜に合った下塗り材・塗料を選ぶ
- ひび割れやシーリングのすき間を、塗装の前に補修しておく
- 汚れやカビ、チョーキングの粉をしっかり洗い落とす
こうした工程を守っているかどうかは、見積書や工事の説明、施工中の写真で確認できます。当社では、着工前から完了までの作業状況の写真と使用した塗材をまとめた報告書をお渡ししています。工事の流れは外壁塗装の工程、保証の考え方は外壁塗装の保証とは?で解説しています。
塗装の膨れに関するよくある質問
Q. 小さな膨れなら、そのままでも大丈夫ですか?
小さくても、膨れは塗膜が外壁材から離れているサインです。放置すると破れて剥がれ、雨水が入る原因になります。原因を確かめるためにも、早めに点検を依頼しましょう。
Q. 塗装してすぐに膨れてきました。
塗装から間もない膨れは、下地の乾燥不足や工程間の乾燥時間不足、塗料の相性など、施工に関わる原因が考えられます。まずは施工した会社に連絡し、保証の内容も含めて相談しましょう。
Q. 膨れを自分で針でつぶしてもいいですか?
つぶすと、そこから雨水が入りやすくなります。原因が解決しないまま補修しても再発するため、自分で処置せず、業者に相談しましょう。
Q. 塗装の膨れは、保証の対象になりますか?
施工が原因の膨れは、施工店の保証の対象になりやすい症状です。一方で、年数による劣化や、台風などの自然災害による傷みは、対象外とされることが多くあります。保証書で対象と期間を確認しましょう(保証書で確認したいこと)。
Q. 膨れにくい塗料はありますか?
塗膜が水蒸気を通す性質(透湿性)のある塗料は、下地の水分を逃がしやすいとされます。一方、膜が厚く伸びのある弾性塗料は、下地の水分の状態によっては膨れが出やすいとされます。どの塗料が合うかは、外壁材や下地の状態で変わるため、現地で確認してから選びます。
まとめ|原因を確かめて補修を
- 塗装の膨れは、塗膜の下に水分や空気がたまり、塗膜が外壁材から離れて盛り上がる症状
- 主な原因は、雨水や湿気の浸入、下地の乾燥不足、乾燥時間不足、下塗り不足・相性、熱、汚れやカビ
- 放置すると剥がれや雨水の浸入につながる
- 補修は、原因の確認→膨れの除去→下地補修→乾燥→下塗り→上塗りの順に行う
- 天候・乾燥時間・下地処理を守ることが、膨れを防ぐいちばんの対策
熊本で外壁の塗装の膨れや剥がれが気になる方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

