FRP防水とは?ベランダ・バルコニーのメリット・デメリットと費用

FRP防水は、ガラス繊維と樹脂を組み合わせて、硬く丈夫な防水層をつくる工法です。軽くて強く、戸建て住宅のベランダやバルコニーで多く使われています。特徴とメリット・デメリット、ウレタン防水やシート防水との違い、劣化のサインと補修の方法、施工の流れと下地処理、費用が決まる条件と業者の選び方、長持ちさせるメンテナンスを、施工事例とあわせて紹介します。

この記事は、熊本で外壁・屋根の塗装と防水工事を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。ベランダの床のひび割れや色あせが気になっている方の参考にしてください。

FRP防水とは?

FRPは「Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)」の略です。FRP防水は、下地にガラス繊維のマット(ガラスマット)を敷き、その上からポリエステル樹脂などを塗って硬化させ、継ぎ目のない防水層をつくります。仕上げに、紫外線から防水層を守るトップコートを塗ります。

FRP防水の材料メーカーの団体であるFRP防水材工業会は、FRP防水を「液状の不飽和ポリエステル樹脂に硬化剤を加えて混合し、ガラス繊維などの補強材と組み合わせて一体にした塗膜防水」と説明しています。主な材料は、ポリエステル樹脂などの樹脂、補強材のガラスマット、保護仕上げのトップコート、樹脂を硬化させる硬化剤です。代表的な仕様は、ガラスマットを2層重ねる仕様で、日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS 8)に記載されています(FRP防水材工業会「FRP防水とは」)。

FRP防水の役割は、ベランダやバルコニーの床から建物の中へ雨水が入るのを防ぐことです。FRPは、浴槽や小型の船などにも使われる素材で、耐水性・防水性にすぐれ、軽くて強度が高いのが特徴です。人が歩くことの多い戸建て住宅のベランダやバルコニーで、よく採用されています。ポリエステル樹脂は、硬化剤を混ぜると化学反応で固まるため、塗ってから短い時間で硬くなります。

FRP防水材工業会によると、FRP防水は住宅のベランダのほか、屋上駐車場や屋上緑化、工場の床や浴室、プール、上下水道の施設などの防水・防食にも使われています。

メリットとデメリット

ベランダ・バルコニーの防水にFRPを選ぶかどうかは、次のメリットとデメリットを比べて判断します。

FRP防水のメリット

  • 硬くて強度が高く、歩行や物の衝撃に強い
  • 防水層が軽量で、建物への負担が少ない
  • 継ぎ目のない防水層になり、形が複雑な場所にも施工しやすい
  • 樹脂の硬化が早く、何層も塗り重ねる仕様でも1日で施工を終えられることがある
  • 表面がなめらかで、汚れを落としやすい

FRP防水のデメリット

  • 伸縮性が小さいため、下地の動きが大きい場所では、ひび割れが起きやすい
  • 防水層そのものは紫外線に弱く、トップコートによる保護と定期的な塗り替えが欠かせない
  • 施工中に樹脂の独特の臭いが出る
  • 面積の広い屋上などでは、ほかの工法が選ばれることが多い

木造住宅のベランダでは、建物の揺れや下地の動きがFRPの防水層に伝わり、細かなひび割れにつながることがあります。ひび割れを見つけたら、早めに点検を受けましょう。

FRP防水と他の防水の違い

比べる点FRP防水ウレタン防水シート防水
防水層の特徴ガラス繊維で補強した、硬く丈夫な層ゴムのような弾力のある層塩ビやゴムのシートを張った層
下地の動きへの追従伸び縮みしにくい伸び縮みしやすく、動きに追従しやすいシートが伸び縮みし、動きに追従しやすい
向いている場所戸建てのベランダ・バルコニーなど、比較的狭い場所屋上や陸屋根など広い場所、形が複雑な場所屋上や陸屋根など、広く平らな場所
工期硬化が早く、短く済みやすい乾燥に時間がかかり、塗り重ねの工程が多いシートを張るため、広い面でも工程をまとめやすい
メンテナンストップコートの定期的な塗り替えトップコートの定期的な塗り替えシートの継ぎ目や端部の点検・補修

3つの工法を比較すると、戸建てのバルコニーのように人がよく歩く狭い場所はFRP防水、マンションやビルの広い屋上はウレタン防水やシート防水、アスファルト防水が多く使われます。

FRP防水とウレタン防水は、どちらも防水層を紫外線から守るトップコートの塗り替えが大切です。屋上のウレタン防水については通気緩衝工法とは?、防水工事の種類の全体像と業者の選び方は防水工事の種類と選び方で詳しく解説しています。

ベランダの防水を改修するときは、今の防水層と同じ工法を選ぶとは限りません。既存のFRP防水の上に、下地処理をしてからFRPやウレタンを重ねる方法や、傷んだ防水層を撤去してやり直す方法があり、既存の防水層の状態と、ベランダの使い方で選びます。

FRP防水の劣化と補修時期

症状考えられる状態
トップコートの色あせ・細かなひび防水層を守る表面の層が劣化し始めている。トップコートの塗り替えの時期
トップコートの剥がれ防水層がむき出しになり、紫外線で傷みやすい状態
防水層のひび割れ・膨れ・浮き防水層そのものが傷んでいる。雨水が入り込むおそれがある
ガラスマットが見えている防水層がすり減っている。防水層の補修ややり直しが必要
水たまりができる・排水が悪いドレン(排水口)の詰まりや、床の勾配の不具合
真下の部屋の天井にシミ雨漏りの可能性。早めの調査が必要

ベランダの下の部屋で雨漏りしている場合の応急処置は雨漏りの応急処置|自分でできる場所別の方法、原因の見分け方は雨漏りの原因はどこ?で紹介しています。

トップコートの剥がれや防水層のひび割れを放置すると、雨水が防水層の下に回り、下地の傷みや雨漏りにつながります。防水層の耐用年数は、材料や施工の条件、トップコートの手入れで大きく変わるため、年数を目安にしつつ、傷んでいる箇所がないかを実際に見て判断します。

点検は、ベランダに出て目で見える範囲で行い、手すりの外側や屋根の上など、危険な場所には上らないようにしましょう。写真を撮っておくと、業者に相談するときに状態を伝えやすくなります。

なお、新築から10年以内の住宅では、住宅を建てた会社が「雨水の浸入を防止する部分」について瑕疵担保責任を負います(国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」)。築10年以内でベランダから雨漏りしている場合は、まず住宅を建てた会社に相談しましょう。

トップコートと防水層の改修

トップコートの塗り替え

防水層に傷みがなく、表面のトップコートが色あせたり細かくひび割れたりしている段階なら、トップコートの塗り替えで対応できます。表面を高圧洗浄や研磨で整えてから、新しいトップコートを塗り、塗膜の性能を回復させます。防水層まで傷みが進む前に塗り替えるのが、もっとも費用を抑えられる方法です。

防水層の補修・やり直し

防水層にひび割れや浮きが出ている場合は、傷んだ部分を補修したり、防水層を作り直したりします。当社が施工した戸建て住宅のバルコニーでは、接触検査で旧防水層の浮きが見られたため、劣化した部分を撤去し、FRPの防水層から形成し直しました(施工事例)。

戸建て住宅のバルコニーのFRP防水工事
FRPバルコニー防水工事(施工事例

FRP防水の施工と下地処理

一般的な施工の手順は次のとおりです。

  1. 調査:防水層のひび割れ・浮き・膨れ、排水の状態、雨漏りの有無を確認
  2. 清掃・下地調整:汚れを落とし、傷んだ旧防水層や浮いた部分を除去・補修する
  3. プライマー(下塗り)の塗布:下地と防水層を密着させる
  4. ガラスマットと樹脂の積層:ガラスマットを敷き、樹脂をローラーで塗って、繊維の間の気泡を抜きながら硬化させる
  5. 研磨・中塗り:表面を整え、なめらかにする
  6. トップコート:紫外線から防水層を守る仕上げを塗る
  7. 完了確認:仕上がりと、ドレンまわり・排水の状態を確認

既存の防水層の種類や状態によって、工程や使う材料は変わります。ベランダの面積が小さくても、立ち上がり(壁との取り合い)やドレンまわりの処理が防水の要になるため、丁寧な施工が大切です。

施工前の下地診断と下地処理

FRP防水の仕上がりと持ちを左右するのは、防水層の下の状態です。表面を見るだけでなく、旧防水層をたたいたり押したりして浮きがないかを確かめ、浮いている部分は撤去してから新しい防水層をつくります。浮きを残したまま上から重ねると、新しい防水層ごとはがれたり、膨れたりする原因になります。

木造住宅のバルコニーでは、防水層の下の合板などの下地が、雨水で傷んでいることもあります。下地に水分が残っていると、防水層の密着が悪くなったり、膨れが発生したりするため、下地の傷みの程度に応じて補修し、乾燥させてから施工します。FRP防水材工業会は、木造バルコニー向けの仕様として、ガラスマット2層の仕様のほか、下地の湿気を逃がす通気緩衝仕様なども紹介しています。

FRP防水の費用と業者の選び方

FRP防水の費用が決まる条件

FRP防水の費用は、インターネットで紹介されている費用相場も、面積や工事の内容の条件がそれぞれ違います。当社では現地で状態を確認したうえで個別にお見積りしています(要相談)。費用は、主に次の条件で変わります。

  • ベランダ・バルコニーの面積
  • トップコートの塗り替えで済むか、防水層の補修・やり直しが必要か
  • 既存の防水層を撤去する必要があるか
  • 立ち上がりの長さや、ドレンの数
  • 足場が必要かどうか(外壁塗装と同時に行えば足場を共用できる)

外壁や屋根の塗装とあわせて行えば、足場や工程をまとめられます。雨漏りの修理を含む場合の費用の考え方は雨漏り修理の費用はどう決まる?で解説しています。

費用を抑えるには、次の点を意識しましょう。

  • トップコートが色あせた段階で塗り替え、防水層のやり直しを避ける
  • 外壁や屋根の塗装工事とあわせて行い、足場を共用する
  • ドレンの掃除など日ごろの手入れで、防水層の傷みを遅らせる
  • 見積もりは、トップコートのみ・部分補修・やり直しの違いがわかる形で比べる

FRP防水の業者を選ぶポイント

  • 防水層の浮き・膨れ・下地の傷みを、写真を見せながら説明してくれるか
  • トップコートの塗り替えで済むのか、防水層のやり直しが必要なのか、理由を説明してくれるか
  • 見積書に、ガラスマットの積層の回数、トップコートの種類、下地処理や撤去の内容が書かれているか
  • ベランダ・バルコニーの防水の施工事例を見せてもらえるか
  • 工事後の保証の範囲・期間と、点検などのアフターフォローの内容を書面で確認できるか

相見積もりをとる場合は、トップコートの塗り替えだけなのか、防水層の補修ややり直しを含むのかをそろえて比べないと、金額の差の理由がわかりません。

保証の内容や期間は、業者や工事の内容によって異なります。保証書を受け取り、定期点検の時期や、不具合が出たときの連絡先を確認しておきましょう。当社の保証やアフターフォローの内容は、お問い合わせの際にご確認ください。

熊本のFRP防水の施工事例

  • 戸建て住宅のバルコニー:接触検査で旧防水層の浮きを確認し、劣化した部分を撤去してからFRPの防水層を形成(施工事例
  • アパートの屋上:広い屋上のため、FRPではなく、通気緩衝シートとウレタン防水で防水層を作り直し(施工事例
  • 熊本市北区山室のアパート:外壁・屋根の塗装とあわせて、屋上の防水工事を実施(施工事例

当社の防水工事の施工実績は、施工事例でもご覧いただけます。戸建てのベランダ・バルコニーはFRP防水、広い屋上はウレタン防水やシート防水というように、場所と広さ、下地に合わせて工法を選びます。

FRP防水のメンテナンス

  • トップコートを定期的に塗り替える
  • ドレン(排水口)にたまった落ち葉や砂、髪の毛などを取り除く
  • 重い物を引きずったり、先のとがった物を落としたりしない
  • 鉢植えやエアコンの室外機の下に水がたまっていないか確認する
  • 色あせ・ひび割れ・膨れがないか、季節ごとに見ておく

当社では、トップコートを約6〜8年の周期で塗り替えることで、防水層までの劣化を防ぎ、トータルのコストを抑えて維持できると考えています。定期的な点検をおすすめします。雨漏りを防ぐための点検のポイントは雨漏り対策|屋根・外壁の予防法と点検でも紹介しています。

熊本の気候とベランダの点検の時期

熊本市にある気象庁の観測点の平年値(1991〜2020年)では、6月の降水量は448.5mm、7月は386.8mmと、梅雨の時期に雨が集中します(気象庁「平年値(熊本)」)。ドレンが落ち葉や砂で詰まっていると、大雨のときにベランダに水がたまり、立ち上がりの上端やサッシの下から水が入ることがあります。梅雨入り前と台風の前には、ドレンのまわりを掃除し、防水層の浮きやひび割れがないかを確かめておきましょう。熊本の梅雨の時期については熊本の梅雨入りで紹介しています。

FRP防水のよくある質問

Q. FRP防水は自分で補修できますか?

トップコートの補修材などは市販されていますが、防水層の補修は材料の扱いや硬化の管理が難しく、施工の不具合があると雨漏りの原因になります。小さなひび割れでも、まずは点検を依頼するのが安心です。

Q. 工事中はベランダを使えますか?

樹脂やトップコートが硬化するまでは、ベランダに出たり洗濯物を干したりできません。工期や使えない期間は、事前にご説明します。

Q. 施工中の臭いは大丈夫ですか?

FRP防水は、施工中に樹脂の独特の臭いが出ます。窓を閉めていただくなど、工事の前にご相談しながら進めます。なお、FRP防水材工業会は、施工時の臭気を大幅に減らした材料を「環境対応型材料」として認定する仕組みを設けています(FRP防水材工業会)。使う材料は、お見積りの際にご相談ください。

Q. 屋上もFRP防水にできますか?

FRP防水は、屋上駐車場や屋上緑化などにも使われている工法です。ただし、戸建ての屋上や陸屋根では、広さや下地の動き、既存の防水の種類によって、ウレタン防水やシート防水が向くこともあります。どの工法が合うかは、現地の状態を見てご提案しますので、お問い合わせください。

Q. ベランダに人工芝やすのこを敷いても大丈夫ですか?

人工芝やすのこ、鉢植えを長く置いたままにすると、下に湿気やごみがたまり、トップコートの劣化や排水の悪化につながることがあります。敷く場合は、ときどき外して掃除し、防水層の表面に色あせやひび割れがないかを確認しましょう。

Q. 点検は無料ですか?

当社では、現地調査・お見積りを無料で行っています。防水層の状態を写真でご説明し、トップコートの塗り替えで済むかどうかをお伝えします。

まとめ|FRP防水の要点

  • FRP防水は、ガラス繊維と樹脂でつくる硬く丈夫な防水層
  • 軽くて強く、戸建てのベランダ・バルコニーに向いている
  • 伸び縮みしにくく、紫外線に弱いため、トップコートの塗り替えが欠かせない
  • 施工前に旧防水層の浮きや下地の傷みを確かめ、下地処理をしてから施工する
  • 色あせやひび割れの段階で補修すれば、費用を抑えられる
  • 防水層の浮きやひび割れ、雨漏りがあれば、早めに点検を

熊本でベランダやバルコニーの防水が気になる方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

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