屋上防水の費用はどう決まる?工法別の特徴と相場の考え方、見積もりの注意点・施工事例

屋上の防水工事を考え始めると、「費用はどのくらいかかるの?」「見積もりの金額は妥当なの?」と気になる方が多いと思います。屋上防水の費用は、面積だけでなく、工法や今ある防水を撤去するかどうか、下地の傷み具合によって大きく変わります。

この記事では、屋上防水の主な工法と特徴、費用が決まる条件、見積書で確認したいポイント、工事の流れとメンテナンスの時期を、熊本で塗装・防水工事を行う株式会社佐藤塗装が、国の標準仕様書と当社の施工事例をもとに解説します。

屋上防水とは?工事が必要な理由

屋上や陸屋根(ろくやね)は、傾斜のある屋根に比べて勾配が小さく、雨水がとどまりやすい場所です。そのため、表面を防水層で覆い、雨水が建物の中に入らないようにしています。防水層は、紫外線や雨風、温度の変化を受けて少しずつ劣化します。劣化が進むと、防水層の下に水が回り、雨漏りや、コンクリートなど下地の傷みにつながります。

特にアパートやマンション、ビルでは、最上階の天井に雨染みが出てはじめて気づくことも少なくありません。雨漏りが起きてからでは、防水工事に加えて室内の補修も必要になるため、劣化のサインが出た段階で点検することが大切です。雨漏りの原因の調べ方は雨漏りの原因はどこ?で解説しています。

熊本市の年間降水量の平年値は2,007.0mmで、6月・7月の梅雨の時期に雨が集中します(気象庁「平年値(熊本)」1991〜2020年)。雨の多い地域では、防水層の小さな傷みから水が入り込みやすいため、定期的な点検がより大切になります。

防水層の劣化のサイン

  • 防水層の表面のひび割れ、色あせ
  • 防水層の膨れや、端部・継ぎ目の剥がれ
  • 雨のあと、いつまでも水たまりが残る
  • 排水口(ドレン)のまわりの詰まりや、雑草
  • シート防水の浮き、つなぎ目のめくれ
  • 最上階の天井や壁の雨染み

こうした症状が複数の箇所に発生している場合は、防水層の寿命が近づいているサインです。表面だけでなく、下地のコンクリートなど建物の構造部分にまで水が回っていないか、専門の業者に診断を依頼しましょう。築10年を過ぎたら、目立つ不具合がなくても一度点検を受けておくと安心です。

屋上防水の主な工法と、それぞれの特徴

屋上防水には、主に次の工法があります。国の「公共建築改修工事標準仕様書」でも、既存の防水を保護アスファルト防水、露出アスファルト・改質アスファルト防水、合成高分子系ルーフィングシート防水、ウレタンゴム系塗膜防水に分けたうえで、それぞれの改修工法が定められています(国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」)。

工法特徴向いている場所
ウレタン防水液体の樹脂を塗り重ね、継ぎ目のない防水層をつくる。形が複雑な場所にも対応しやすい屋上、陸屋根、ベランダ
FRP防水ガラス繊維と樹脂で、硬く丈夫な防水層をつくる。軽くて強い戸建てのベランダ・バルコニー
シート防水塩ビやゴムのシートを張る。広い面を効率よく施工しやすい広い屋上
アスファルト防水アスファルトとルーフィングを重ねて厚い防水層をつくるビル・マンションの屋上

どの工法が合うかは、今ある防水の種類、屋上の広さや形、下地の状態によって変わります。業者の選び方と工法の違いは防水工事の種類と選び方でも解説しています。

工法ごとのメリット・デメリットを比較すると、次のようになります。

工法メリットデメリット・注意点
ウレタン防水継ぎ目がなく、複雑な形や設備の多い屋上にも施工しやすい。既存の防水の上に重ねられる場合もある職人の手で塗るため、厚みを均一にする技術が必要。乾燥に時間がかかる
FRP防水硬く丈夫で、歩行の多い場所にも向く。乾燥が早い硬いため、建物の動きが大きい広い屋上ではひび割れに注意が必要
シート防水工場でつくられたシートのため、厚みが均一。広い面を短期間で施工しやすい複雑な形の場所では継ぎ目の処理が難しい。継ぎ目のめくれに注意
アスファルト防水厚い防水層をつくれ、実績の多い工法重量があり、工法によっては施工時の熱やにおいへの配慮が必要

防水層の耐用年数(寿命)や耐久性は、工法や材料だけでなく、日当たりや屋上の使い方、施工の丁寧さによっても変わります。見積もりの際は、使う材料のメーカーの仕様書や、工事の保証期間もあわせて確認しましょう。

ウレタン防水の「通気緩衝工法」と「密着工法」

屋上で多いウレタン防水には、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む「通気緩衝工法(絶縁工法)」と、下地に直接塗る「密着工法」があります。国の「公共建築工事標準仕様書」では、ウレタンゴム系塗膜防水の種別として、X-1(絶縁工法)とX-2(密着工法)が示され、X-1では通気緩衝シートを張り、脱気装置を設けることとされています(国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版」)。

通気緩衝工法は、下地に含まれる水分を脱気筒から逃がし、防水層の膨れを防ぎやすいため、既存の防水の改修で多く使われます。仕組みと工程は通気緩衝工法とは?、ベランダに多いFRP防水はFRP防水とは?で詳しく解説しています。

屋上防水の費用が決まる6つの条件

屋上防水の費用は、当社の料金ページには掲載していないため、現地調査のうえで個別にお見積りしています(要相談)。一般に、費用は次のような条件で変わります。

条件費用への影響
施工面積平場(床面)と立上り(壁際の立ち上がり部分)の面積で、材料と手間が決まる
工法と材料ウレタン・FRP・シート・アスファルトなど、工法や材料の種類で変わる
既存の防水の扱い撤去して新しくするか、既存の上に重ねるかで、撤去や処分の手間が変わる
下地の傷みひび割れ・浮き・水分を含んだ下地の補修や乾燥に、手間と日数がかかる
細部の納まり排水口(ドレン)、脱気筒、手すりや設備の架台まわりの処理
搬入・安全対策3階建て以上の建物や、材料の搬入経路、足場の要否

面積と屋上の形状で変わる費用

屋上防水の費用は、一般に施工面積(㎡)に単価をかけた金額に、既存の防水の撤去、下地処理、部材、諸経費などを加えて計算されます。見積書を比べるときは、面積が同じか、単価に何が含まれているかを確かめ、価格だけで判断しないようにしましょう。

同じ面積でも、空調の室外機や配管、アンテナの架台などが多い屋上は、まわりの防水処理に手間がかかり、費用が上がりやすくなります。反対に、障害物が少なく形が単純な屋上は、施工しやすく工期も短くなりやすい傾向があります。見積もりの金額は、面積だけでなく屋上の状況もあわせて比較しましょう。

外壁や屋根の塗装とあわせて行えば、足場や工程をまとめられるため、別々に工事するより効率よく進められることがあります。

アパートやマンションでは、屋上防水は外壁塗装などと並ぶ大規模修繕の主な工事項目です。修繕の時期と費用の計画を立てておくと、急な雨漏りによる出費を防ぎやすくなります。アパートの修繕費の考え方はアパートの外壁塗装の費用相場で解説しています。

撤去して新しくするか、既存の上に重ねるか

国の「公共建築改修工事標準仕様書」では、既存の保護層や防水層を撤去するか、撤去しないかによって改修工法を区分しています。例えば、既存のウレタン防水の上に新しいウレタン防水を重ねる工法(L4X工法)は、特記がなければ密着工法(X-2)とし、既存の保護アスファルト防水を撤去せずにウレタン防水を施工する工法(P0X工法)は、絶縁工法(X-1)とすることが示されています(国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書」)。

既存の防水を撤去する工事は、撤去や処分に費用がかかる一方で、下地の状態を直接確かめてから防水層をつくり直せます。重ねる工事は撤去の手間を減らせますが、既存の防水の傷みが大きいと向きません。当社の熊本市北区のアパートの屋上防水では、既存のシート防水を撤去し、下地の含水・ひび割れ・浮きを確認してから施工しました。

屋上防水の見積書で確認したいポイント

屋上防水の見積書は、項目や表現が業者によって異なります。次の点が書かれているかを確認しましょう。

  • 施工面積(平場と立上りを分けて記載しているか)
  • 工法名と、使う材料の製品名
  • 既存の防水を撤去するか、重ねるか
  • 下地処理(清掃・ひび割れの補修・不陸調整など)の内容
  • ウレタン防水の場合は、塗る層の数や膜厚、仕上げのトップコート
  • 脱気筒や改修用ドレンなどの部材
  • 保証の内容と期間

当社では、劣化診断士が現地で屋上の防水層の状態を調査し、ひび割れ・膨れ・浮きの有無、排水口まわりの状態、下地に水分を含んでいないかなどを確認します。調査の結果をもとに、トップコートの塗り替えで済むのか、防水層の改修が必要なのかを、写真を見ていただきながらご説明します。

ほかと比べて極端に安い見積もりは、下地処理を省いたり、防水材を薄く塗ったりしている可能性があります。防水層の厚みは、完成後に外から見て確かめるのが難しいため、工程ごとの写真で確認できるかも聞いておくと安心です。当社は、着工前から完了までの写真をまとめた報告書をお渡ししています。

「屋上が傷んでいて、すぐに工事しないと危ない」などと突然訪問し、その場で契約をせまる業者には注意しましょう(国民生活センター)。

屋上防水の工事の流れと工期の考え方

ウレタン防水の通気緩衝工法で、既存の防水を撤去して施工する場合の一般的な流れです。当社の屋上防水の施工事例に沿って紹介します。

  1. 既存の防水の撤去・下地の確認:立上りや端部も含めて、下地の含水・ひび割れ・浮きを確認する
  2. 下地処理:清掃(必要に応じて高圧洗浄)、ひび割れの補修、不陸(凹凸)の調整。含水が多い場合は乾燥期間をとる
  3. プライマーの塗布:下地に合ったプライマーを全面に塗り、乾燥させる
  4. 通気緩衝シートの張り付け・脱気筒の設置:湿気の逃げ道をつくる
  5. ウレタン防水材の塗布(2層):所定の膜厚を確保する
  6. トップコートの塗布:紫外線や摩耗から防水層を保護する
  7. 完了検査:端部・ドレンまわり・排水の状態を確認する

防水工事は、雨の日や下地が濡れているときは施工できません。九州北部の梅雨の平年値は、梅雨入りが6月4日ごろ、梅雨明けが7月19日ごろです(気象庁「過去の梅雨入りと梅雨明け(九州北部)」)。梅雨の時期は雨で工期が延びやすいため、余裕を持って計画しましょう。

屋上防水のメンテナンスと工事の時期

屋上防水を長持ちさせるには、表面のトップコートの塗り替えと、日ごろの点検が欠かせません。

トップコートの塗り替えのタイミング

防水層は、表面のトップコートが紫外線から守っています。トップコートが傷んだ段階で塗り替えれば、防水層そのものの劣化を遅らせることができます。当社では、ベランダ・バルコニーの防水のトップコートは約6〜8年の周期で塗り替えることで、防水層までの劣化を防ぎ、トータルのコストを抑えて維持できると考えています。

トップコートの色あせや細かなひび割れ、表面のざらつきは、塗り替えのサインです。防水層まで傷みが進むと、トップコートの塗り替えだけでは済まず、防水層の補修や改修が必要になります。

日ごろの点検でできること

  • 年に1回程度、屋上の表面や排水口のまわりを点検する
  • 落ち葉や砂がたまりやすい排水口(ドレン)は、こまめに掃除する
  • 台風や大雨のあとは、膨れや剥がれ、水たまりがないか確認する
  • ひび割れや膨れを見つけたら、広がる前に補修を相談する

大きな地震や台風のあとは点検を

大きな地震で建物が揺れると、屋上の下地にひび割れが入り、防水層が破断することがあります。台風のあとも、飛来物による傷や、排水口の詰まりが起きていないか確認しましょう。気になる箇所があれば早めに診断を依頼すると、不具合が小さいうちに補修できます。

トップコートの塗り替えで済む段階なら、防水層をつくり直すより費用を抑えられます。劣化のサインに早めに気づくことが、結果的に費用を抑えることにつながります。

屋上防水はDIYでもできる?注意点

ホームセンターなどでは防水塗料も売られていますが、屋上防水のDIYはおすすめできません。防水工事は、下地処理や塗る厚みの管理、立上りや排水口まわりの処理によって仕上がりが大きく変わり、施工が不十分だと、かえって雨漏りの原因になることがあります。また、屋上の端での作業には転落の危険もあります。

排水口の掃除や、表面の目視での点検はご自身でもできます。ひび割れや膨れを見つけたら、写真を撮って業者に相談しましょう。

なお、新築住宅の場合は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、売主等は屋根や外壁など「雨水の浸入を防止する部分」について10年間の瑕疵担保責任を負うこととされています(国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」)。築10年以内で雨漏りや防水の不具合が見られる場合は、まず住宅を建てた会社や売主に相談してみましょう。

屋上防水の施工事例(熊本市北区)

既存のシート防水を撤去して改修したアパート

熊本市北区のアパートの屋上防水では、経年で劣化した既存のシート防水を撤去し、下地の状態を確認したうえで、ひび割れの補修や不陸の調整を行いました。通気緩衝シートを張って脱気筒を設け、ウレタン防水を2層塗って膜厚を確保し、トップコートで仕上げています。

施工前のアパートの屋上(熊本市北区)既存のシート防水が劣化した状態
施工前:既存のシート防水が経年で劣化していた屋上
施工後のアパートの屋上(熊本市北区)通気緩衝工法のウレタン防水で仕上げた状態
施工後:通気緩衝工法のウレタン防水とトップコートで仕上げた屋上

この工事では、通気緩衝シートのつなぎ目を規定の幅で重ねて貼り、端部・立上り・排水口まわりを重点的に確認して仕上げました。防水は平らな部分よりも、端部や排水口などの細部が傷みやすいため、細部の処理が長持ちの鍵になります。

外壁・屋根の塗装とあわせて防水したアパート

熊本市北区山室の3階建てアパートでは、外壁・屋根の塗装とあわせて屋上の防水工事を行い、建物全体の防水性能を高めました。入居者様の生活への影響を抑えるため、足場の組立から塗装・防水まで段取りを組んで進めています。

防水工事を終えたアパートの屋上(熊本市北区山室)
施工後:外壁・屋根の塗装とあわせて防水工事を行った屋上

戸建て住宅では、ベランダのウレタン防水(通気緩衝工法)の事例もあります。ほかの事例は施工事例でご覧いただけます。

屋上防水の費用に関するよくある質問

Q. 屋上防水の費用の目安を教えてください。

屋上の面積、工法、既存の防水の撤去の有無、下地の傷み具合によって大きく変わるため、当社では現地調査のうえで個別にお見積りしています(要相談)。見積もりの際は、この記事で紹介した条件ごとに、何にいくらかかるのかをご説明します。

Q. すでに雨漏りしていても、防水工事で直りますか?

雨漏りの原因が屋上の防水層にある場合は、防水工事で改善できます。ただし、外壁のひび割れやサッシまわりなど、別の場所が原因のこともあります。当社には雨漏り鑑定士が在籍しており、原因を調べたうえで工事をご提案します。修理の進め方は熊本の雨漏り修理、費用の考え方は雨漏り修理の費用はどう決まる?で解説しています。

Q. 外壁塗装と一緒に工事できますか?

はい。足場の設置から塗装・防水まで自社で一貫して対応しています。外壁や屋根の塗装とあわせて行えば、足場や工程をまとめられます。

Q. 工事中も建物は使えますか?

屋上の工事中も、建物の中は通常どおり使えることがほとんどです。ただし、材料のにおいや、屋上への立ち入り制限が出る期間があります。アパートやマンションでは、入居者様へのお知らせの内容も含めて事前にご相談します。

まとめ|屋上防水の費用は、工法と下地の状態で決まる

  • 屋上防水の費用は、面積・工法・既存の防水の撤去の有無・下地の傷みで大きく変わる
  • ウレタン防水には、通気緩衝工法(X-1)と密着工法(X-2)がある
  • 見積書では、面積の内訳、工法と材料、下地処理、層の数やトップコートを確認する
  • トップコートの定期的な塗り替えで、防水層を長持ちさせられる
  • 当社では屋上防水の費用は現地調査のうえで個別にお見積り(要相談)

株式会社佐藤塗装は、熊本市北区に本社を置き、2023年3月には熊本市南区城南町にも営業所を開設した塗装会社です。足場の設置から塗装・防水まで自社で一貫して対応し、工事の写真をまとめた報告書をお渡しします。屋上の防水が気になったら、お気軽にご相談ください。無料の現地調査・お見積りのご相談はこちら