ルーフィングシートは、屋根材の下に張る防水シートです。雨漏りを防ぐ最後の層としての役割、アスファルト系・改質・粘着層付き・透湿などの種類、劣化のサインと交換する工事、費用の考え方を、熊本の塗装会社が解説します。
この記事は、熊本で外壁・屋根の塗装と雨漏りの調査を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。当社には雨漏り鑑定士が在籍しています。
ルーフィングシートとは?屋根での役割
ルーフィングシート(ルーフィング)は、屋根材の下、野地板(屋根の下地になる木材の板)の上に張る防水シートで、建築の現場では「下葺き材(したぶきざい)」とも呼ばれます。屋根は、屋根材・下葺材・屋根の勾配の組み合わせで雨を防いでいて、下葺材は、屋根材のすき間から入った雨水が室内に浸入するのを防ぐ役割を担っています(日新工業「屋根下葺材について」)。
屋根材だけでは雨を防ぎきれない理由
瓦やスレート、金属屋根は、1枚ずつ重ねたりつないだりして葺かれているため、継ぎ目や重なりがあります。強い風をともなう雨のときは、そのすき間から雨水が入り込むことがあります。屋根材の下に入った雨水を受け止め、軒先へ流して外に出すのがルーフィングです。表面の屋根材を一次防水、ルーフィングを二次防水と呼ぶのはこのためです。外壁の裏の透湿防水シートとあわせた「二重の防水」のしくみは雨漏りの原因でも紹介しています。
住宅の基準で求められる下葺き
新築住宅の瑕疵担保責任保険の基準では、屋根には下ぶきを施すこととされ、下ぶき材の品質と張り方が次のように定められています。
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 下ぶき材の品質 | JIS A 6005(アスファルトルーフィングフェルト)に適合するアスファルトルーフィング940、またはこれと同等以上の防水性能をもつもの |
| 重ね合わせ | 長手方向を横向きに用い、上下(流れ方向)は100mm以上、左右は200mm以上重ねる |
| 谷部・棟部 | 谷底や棟の頂部から両方向へそれぞれ250mm以上重ねる(製造者の施工基準で端部に止水措置をする場合などを除く) |
| 壁との取り合い | 屋根面と壁面の取り合い部では、壁面に沿って250mm以上立ち上げる |
ルーフィングは、材料の性能だけでなく、重ね幅や、谷・棟・壁際の張り方で防水性が決まります(国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険 設計施工基準」)。
ルーフィングシートの種類と特徴
住宅の屋根で使われるルーフィングには、主に次の種類があります。
| 種類 | 主な特徴 | 規格など |
|---|---|---|
| アスファルトルーフィング | 最も長い実績がある。アスファルトには、釘穴などを自然にふさぐ性質(セルフシール性)があるが、高温で柔らかくなりすぎ、低温で割れやすい面もある | JIS A 6005(アスファルトルーフィング940など) |
| 改質アスファルトルーフィング | アスファルトに樹脂やゴムなどを加え、釘穴シール性や低温での柔軟性を高めたもの。合成繊維の不織布を使い、強度も高い | JWMA規格 ARK 04s |
| 粘着層付き改質アスファルトルーフィング | 重ね目が粘着層で密着して一体になり、水密性が高い。タッカー(ステープル)で留める必要がないため、漏水のリスクを減らせる。耐風圧性も高い | - |
| 機能性タイプ(白色系など) | 高温時のベタつきを抑えるなどの特別な機能をもつ。表面を白色系にして、高温時の表面温度を抑えるものもある | - |
| 透湿ルーフィング | 湿気を通す透湿性と、雨水を通さない防水性をあわせもつ。野地板の湿気を外へ逃がし、野地板とルーフィングの間の結露を防ぐ。不織布を基材とした製品もある(旭・デュポン「タイベック ルーフライナー」) | - |
アスファルトルーフィングの規格(JIS A 6005)には、アスファルトフェルト430、アスファルトルーフィング940、アスファルトルーフィング1500があり、改質アスファルトルーフィング下葺材は、日本防水材料協会(JWMA)の規格(ARK 04s)で品質が定められています(JWMAアスファルト防水部会「住宅屋根防水」)。改質アスファルトが高温でダレにくく、低温で割れにくい理由は、メーカーの田島ルーフィング「屋根下葺材 下葺材の構成」でも解説されています。
透湿ルーフィングは、製品ごとに使用できる屋根材や勾配の条件が決まっています。たとえばタイベック ルーフライナーは、瓦屋根で3寸勾配以上、通気層を確保することが使用の条件とされています。
どのタイプを使うかの考え方
どのルーフィングを使うかは、屋根材の種類や重さ、屋根の勾配、予算、屋根材メーカーの指定などで決まります。金属屋根(ガルバリウム鋼板など)、スレート屋根(コロニアル・カラーベストなど)、瓦屋根など、屋根材ごとにメーカーが下葺材の条件を定めていることもあります。材料の価格も種類によって違うため、見積もりの際は、使うルーフィングの製品名と種類を確認しておくと安心です。
遮熱や断熱はルーフィングとは別に考える
夏の屋根の暑さが気になる場合は、遮熱塗料で屋根を塗装する方法があります。遮熱塗料は日射を反射して屋根材の表面温度の上昇を抑える塗料で、雨を防ぐルーフィングとは役割が違います(熊本の屋根塗装)。住まいの断熱は、屋根裏や天井、壁の断熱材で考えるのが基本です。当社では、外壁・屋根の塗装のほか、発泡ウレタンによる断熱の工事も行っています(事業内容)。
ルーフィングの耐久性と劣化のサイン
ルーフィングの耐久性(耐用年数)は、材料の種類のほか、屋根材や勾配、日当たり、施工の状態によって変わります。改質アスファルトは、高温でダレにくく低温で割れにくい性質をもつため、夏と冬の温度差が大きい屋根の下でも性能を保ちやすい素材です。一方で、ルーフィングは屋根材の下にあるため、表からは劣化の状態を直接見ることができません。次のようなサインがあるときは、ルーフィングまで傷んでいる可能性があります。
- 天井や壁の上のほうに雨じみがある、雨の日に天井から水が落ちる
- 小屋裏(屋根裏)の野地板に、濡れた跡や黒ずみ、カビがある
- 瓦のずれや割れ、スレートのひび割れ、棟板金の浮きがあり、そこから雨水が入り込んでいる
- 屋根材の表面の色あせが進み、苔や藻が広がっている
- 前回の屋根の工事から長い年数がたっている
屋根の苔については屋根の苔の原因と対策、雨漏りの原因の調べ方は雨漏りの原因で解説しています。屋根に上って確認するのは危険なので、地上や室内から見えるサインに気づいたら、専門の業者に点検を依頼しましょう。
熊本の気候と地震のあとに注意したいこと
熊本は梅雨の時期の雨量が多く、夏から秋にかけては台風の影響も受けます(熊本の梅雨入り)。長雨や強い風雨が続くと、屋根材のすき間から入る雨水が増え、ルーフィングの傷んだ部分から雨漏りが起こりやすくなります。また、2026年7月の令和8年熊本地震のあとは、瓦のずれや棟の崩れで、ルーフィングが直接雨を受ける状態になっている屋根もあります。応急処置のブルーシートは長くはもたないため、早めに点検と修理の相談をしましょう(熊本の雨漏り修理)。
ルーフィングは屋根塗装では直せない
屋根塗装は、屋根材の表面を塗膜で保護し、色あせやサビ、苔の広がりを防ぐための工事です。屋根材の表面は守れても、屋根材の下にあるルーフィングを新しくすることはできません。雨漏りの原因がルーフィングの劣化にある場合は、塗装だけでは雨漏りは止まらないため、ルーフィングを交換する工事を検討します。
反対に、屋根材やルーフィングに大きな傷みがなく、表面の劣化が中心なら、屋根塗装で屋根材を長持ちさせるメンテナンスが可能です。屋根塗装の料金や工程は熊本の屋根塗装で紹介しています。
ルーフィングを交換する工事の種類
| 工事 | ルーフィング | 内容 |
|---|---|---|
| 葺き替え | 新しくする | 今の屋根材とルーフィングを撤去し、野地板の状態を確認・補修してから、新しいルーフィングと屋根材を張る |
| 葺き直し(瓦屋根) | 新しくする | 今の瓦をいったんはがし、野地板とルーフィングを新しくしてから、同じ瓦を葺き戻す |
| カバー工法(重ね葺き) | 新しく重ねる | 今の屋根材を残したまま、その上に新しいルーフィングを張り、軽量な金属屋根などを重ねる |
| 部分補修 | 傷んだ部分を補修 | 雨漏りの範囲が限られる場合に、屋根材を部分的にはがして下地やルーフィングを補修する |
| 屋根塗装 | 交換しない | 屋根材の表面を塗装で保護する。ルーフィングは今のまま |
屋根のリフォームでどの工事が合うかは、雨漏りの有無と範囲、野地板の傷み、今の屋根材の種類、建物の重さや予算によって変わります。カバー工法の費用や注意点は屋根カバー工法とは?で詳しく解説しています。古いスレート屋根にはアスベスト(石綿)を含むものがあるため、屋根材をはがす工事の前には事前の調査が必要です。
当社で対応できる工事の範囲や方法は、屋根の状況を確認したうえでご説明し、最適と考える方法をご提案します。葺き替えやカバー工法、部分補修のご相談はお問い合わせください。
カバー工法と葺き替えの違い
| 比べる点 | カバー工法 | 葺き替え |
|---|---|---|
| 今の屋根材 | 残す(撤去・処分が少ない) | 撤去して処分する |
| 野地板の確認 | 直接は確認できない | 確認・補修できる |
| 屋根の重さ | 今の屋根に新しい屋根材の重さが加わる | 軽い屋根材を選べば軽くできる |
| 向いている屋根 | スレート屋根や古い金属屋根で、下地の傷みが少ない場合 | 雨漏りが続き、野地板まで傷んでいる場合など |
カバー工法は、下地の傷みが少ないことが前提の工法です。雨漏りが長く続いていて野地板が傷んでいる場合は、葺き替えで下地から直す必要があります。
ルーフィングを張る工程
葺き替えやカバー工法でルーフィングを貼る(張る)ときは、一般に次の順番で進めます。
- 葺き替えの場合は、今の屋根材と古いルーフィングを撤去する
- 野地板の傷みや腐れを確認し、必要に応じて補修や張り替えをする
- 軒先側から棟に向かって、ルーフィングを横向きに張っていく(上下100mm以上・左右200mm以上重ねる)
- 谷部・棟部・壁との取り合い部は、重ね幅や立ち上げを十分にとって張る
- タッカー(ステープル)などで留め、その上に屋根材を葺く(粘着層付きのルーフィングは、タッカーで留めずに張れる)
ルーフィングは工事が終わると見えなくなるため、張っている途中の写真を残してもらうと、重ね幅や端部の処理を確認できます。
ルーフィング工事の費用の考え方
ルーフィングの張り替えは、屋根材をはがす(または重ねる)工事と一体で行うため、費用は屋根全体の工事として考えます。費用に影響する主な項目は次のとおりです。
- 屋根の面積と勾配、形(急な勾配や複雑な形は手間が増える)
- 今の屋根材の撤去と処分の費用(葺き替えの場合)
- 野地板の補修や張り替えの有無
- 使うルーフィングと新しい屋根材の種類
- 足場の設置(屋根の工事にも足場が必要)
- アスベストの事前調査や、含まれていた場合の処理
当社の料金ページには、葺き替えやカバー工法、ルーフィングの張り替えの料金は掲載していないため、費用は現地調査のうえでお見積りします(要相談)。屋根塗装の料金の目安は料金ページ、雨漏り修理の費用の考え方は雨漏り修理の費用で紹介しています。
見積書で確認したい項目
- ルーフィングの製品名(商品名)・種類と数量(㎡)
- ルーフィングを張る範囲(屋根の全面か、一部か)
- 野地板の補修・張り替えの有無と範囲
- 今の屋根材の撤去・処分の費用(葺き替えの場合)
- 棟・谷・壁際などの板金の交換の有無
- 足場の費用
項目が「屋根工事一式」とまとめられている場合は、内訳を出してもらいましょう。同じ条件で比べると、金額の違いの理由がわかりやすくなります。
火災保険や支援制度が使える場合
台風や強風で屋根材が飛ばされて雨漏りした場合は、火災保険の補償の対象になることがあります。経年劣化による傷みは対象外になるのが一般的なので、契約内容を保険会社に確認しましょう(雨漏りの修理に火災保険は使える?)。地震で被災した住宅の屋根の修理には、応急修理などの制度が使える場合があります(熊本の外壁塗装の助成金と支援制度)。
業者に相談するときのポイント
- 小屋裏や野地板の状態まで確認し、写真で説明してくれるか
- 雨漏りの原因を調べたうえで、塗装・部分補修・カバー工法・葺き替えの中から、理由をつけて提案してくれるか
- ルーフィングを張った状態など、工事中の写真を記録して報告してくれるか
- 「塗装すれば雨漏りは止まる」と、原因を調べずに断言しないか
- 突然訪問して、屋根に上らせてほしいと言う業者ではないか
ルーフィングは建材店や通販でも購入できますが、屋根に上って自分で張り替えるのは、転落の危険が大きく、屋根材をはがす工事でもあるため、DIYには向きません。業者の選び方は熊本県の塗装会社ランキングの見方、雨漏りの応急処置は雨漏りの応急処置で紹介しています。当社では、劣化診断士が現地調査を行い、写真で状態をご説明しています。
ルーフィングシートのよくある質問
Q. ルーフィングだけを交換することはできますか?
ルーフィングは屋根材の下にあるため、交換するには、屋根材をはがす(葺き替え)か、上から新しく重ねる(カバー工法)必要があります。範囲が限られる場合は、部分的な補修で対応できることもあるため、屋根の状態を確認したうえでご提案します。
Q. ルーフィングはどれくらい持ちますか?
材料の種類や屋根材、勾配、施工の状態によって変わるため、一律の年数は言えません。前回の屋根の工事から長い年数がたっている場合や、雨じみなどのサインがある場合は、点検を受けて状態を確認しましょう。
Q. 金属屋根にもルーフィングは必要ですか?
必要です。上で紹介した設計施工基準でも、屋根には下ぶきを施すこととされています。屋根材メーカーの指定に合った下葺材を使うことが大切です。
Q. 屋根塗装で雨漏りは直りますか?
屋根材のひび割れなど、表面が原因の雨漏りなら、補修と塗装で改善することもあります。ルーフィングの劣化が原因の場合は、塗装では直りません。まず原因を調べることが大切です。当社には雨漏り鑑定士が在籍しています。
Q. ブルーシートで応急処置をしてもいいですか?
雨漏りが続くときの一時的な対策として使われますが、屋根に上る作業は危険です。室内でできる対策は雨漏り対策を参考にし、屋根の上の作業は業者に依頼しましょう。
まとめ|屋根を守る最後の防水層
- ルーフィングは屋根材の下に張る防水シートで、屋根材のすき間から入った雨水を防ぐ
- アスファルトルーフィング、改質アスファルトルーフィング、粘着層付き、透湿タイプなどがある
- 屋根材の下にあるため劣化は見えにくく、雨じみや野地板の傷みがサイン
- 屋根塗装ではルーフィングは直せない。交換は葺き替えかカバー工法で行う
- 費用は屋根の工事全体として、現地調査のうえで見積もる(要相談)
雨漏りや屋根の傷みが気になる方は、無料の現地調査・お見積りをご利用ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

