屋根の苔(コケ)はなぜ生える?原因と放置のリスク、除去・予防の方法と費用を解説

屋根に苔(コケ)が生えて、緑色や黒っぽい汚れが目立ってきた。そんなとき「放っておいても大丈夫?」「自分で落とせる?」と迷う方は多いと思います。屋根の苔は、表面に水分が残りやすくなっているサインです。少し生えただけですぐに雨漏りが起きるわけではありませんが、放置すると屋根材の傷みを早める原因になります。

この記事では、屋根に苔が生える原因、屋根材ごとの生えやすさ、放置するリスク、除去と予防の方法、費用の目安を、熊本で屋根塗装・防水工事を行う株式会社佐藤塗装が、メーカーの資料と当社の施工事例をもとに解説します。

屋根に苔が生える3つの原因

苔は、胞子が風で運ばれ、水分と養分がそろった場所に根付いて育つ植物です。屋根では、雨水や夜露が乾きにくい場所や、砂ぼこり・落ち葉がたまる場所でよく見られます。なお、屋根の緑色や黒色、白っぽい汚れは、苔だけでなく、藻やカビ、地衣類(ちいるい)であることもあります。見分け方の目安は次のとおりです。

種類見た目の特徴よく見られる場所
苔(コケ)緑〜黄緑色で、ふさふさと盛り上がる屋根材の重なりや谷部など、水や土がたまりやすい場所
表面を薄く覆う緑色の汚れ北側の面など、日当たりが悪く湿った面
カビ黒っぽい斑点や、すじ状の汚れ湿気がこもりやすく、汚れが付いた面
地衣類白・灰色・黄色の丸い斑点が張り付く乾きやすい面にも見られることがある

苔や藻は、洗浄で比較的落としやすい汚れです。地衣類は屋根材の表面に強く張り付き、洗浄しても跡が残ることがあります。黒いカビは苔ほど盛り上がらず目立ちにくいものの、湿気がこもっているサインです。見た目は違っても、どれも屋根の表面が乾きにくくなっていることを示しているため、種類にかかわらず、広がり方や屋根材の傷みとあわせて確認することが大切です。

種類は違っても、「屋根の表面に水分と汚れが残りやすい」ことが共通の条件です。原因は、大きく次の3つに分けられます。

湿気がこもりやすく、日当たりの悪い面

外壁材メーカーのケイミューは、藻・カビが発生しやすい環境として、周辺に池・川・用水路・田畑・森林などがある立地や、建物の北面など風通しが良くなく湿気が多いところを挙げています(ケイミュー「外壁材 維持管理のお願い」)。屋根も同じで、北側の面や、隣の建物・樹木の陰になる面は日中も乾きにくく、苔が生えやすくなります。次のような条件がそろう屋根は、特に注意しましょう。

  • 北向きの屋根面がある
  • 近くに木や山林、川、田畑がある
  • 隣の建物の陰になる時間が長い
  • 屋根の勾配がゆるく、雨水が流れにくい
  • 谷部や雨樋のまわりに、落ち葉や砂ぼこりがたまりやすい

熊本は雨が多く、梅雨から夏は湿度も高い

気象庁の平年値(1991〜2020年)では、熊本市の年間降水量は2,007.0mmです。月別に見ると、6月が448.5mm、7月が386.8mmと梅雨の時期に雨が集中し、平均の相対湿度も6月・7月は76%と、年間の平均(70%)より高くなります(気象庁「平年値(熊本)」)。

雨で濡れた屋根が乾ききらない日が続くと、北面や日陰の屋根では苔や藻が育ちやすくなります。熊本では、梅雨の前後に屋根の状態を確認しておくと、苔や汚れの広がりに早く気づけます。

熊本県内でも、山あいの地域や、川・田畑・林に近い住まいでは、朝露や霧で屋根が濡れている時間が長くなりがちです。同じ地域でも、家の向きや周りの建物・木の配置によって乾きやすさは変わるため、「近所の家は大丈夫だから」と安心せず、自宅の屋根の面ごとに確認することが大切です。

塗膜が劣化して、屋根材が水を含みやすくなる

スレート(コロニアル・カラーベストなど)やセメント瓦は、セメントを主な原料とした屋根材で、表面の塗膜が雨水の吸い込みを防いでいます。新築や前回の塗り替えから年数がたち、紫外線や雨で塗膜が傷むと、表面がざらつき、水を含みやすくなります。

表面が乾きにくくなると、苔の胞子が根付きやすくなります。苔が目立ってきたら、「塗膜の保護が弱くなってきたサイン」と考えるとよいでしょう。色あせや、手で触ると白い粉が付くチョーキングが同時に見られることもあります。

屋根材ごとの苔の付きやすさ

苔の付きやすさは、屋根材の種類によっても変わります。住宅でよく使われる屋根材ごとの傾向をまとめました。

屋根材苔の付きやすさ・傾向主なメンテナンス
スレート(コロニアル・カラーベストなど)塗膜が劣化すると水を含みやすく、重なり部分や北面に苔が出やすい洗浄・塗装
セメント瓦・モニエル瓦スレートと同じくセメント系で、塗膜の劣化とともに苔が付きやすい洗浄・塗装(モニエル瓦は表面の処理に注意)
粘土瓦(釉薬瓦・いぶし瓦)釉薬瓦は水を吸いにくい。いぶし瓦や日陰の面では苔が付くことがある塗装は基本的に不要。漆喰や棟の点検
金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタン・折板など)表面は水を吸わないが、ほこりや落ち葉がたまる部分に苔やカビが付く洗浄・サビの補修・塗装

スレート屋根は、屋根材が薄く、重なり部分に雨水や汚れが残りやすいため、苔が出やすい屋根材です。塗膜の劣化とあわせて苔が広がるため、苔が目立ってきたら塗り替えの時期を考えるきっかけになります。

粘土瓦の瓦屋根は、屋根材自体が水を吸いにくいため、苔が付いても塗装で直すことは基本的にありません。棟の漆喰の崩れや瓦のズレなど、別の不具合がないかを確認します。金属屋根は、苔よりもサビや塗膜の剥がれに注意が必要です。工場や倉庫、アパートに多い折板屋根については折板屋根の塗装はなぜ必要?で解説しています。

屋根の苔を放置する3つのリスク

苔が少し生えただけで、すぐに雨漏りが起きるわけではありません。スレート屋根材メーカーのケイミューは、表面の色が薄くなったり汚れがついたりしても、屋根材としての基本性能は問題ないとしたうえで、美観の維持・向上には再塗装を行うよう案内しています(ケイミュー「屋根材 維持管理のお願い」)。一方で、苔が広がり、水分を抱えた状態が長く続くと、次のような問題につながることがあります。

屋根材が乾きにくくなり、傷みが進みやすい

苔はスポンジのように水分を抱え込みます。屋根の表面が長い時間濡れたままになると、塗膜が傷んだスレートやセメント瓦は水を吸いやすくなり、反りや割れ、表面の剥がれなどの傷みが進む原因になることがあります。重なり部分や谷部に苔や土がたまると、雨水の流れもさまたげられます。

ケイミューは、屋根の維持管理がなされず放置されると、屋根だけでなく雨漏りなどによって建物自体の寿命を縮める結果にもなると説明しています(同資料)。スレート屋根の縁切り部材メーカーのセイムも、コケやカビが生えるのは屋根材が常に湿った、水分を含んだ状態であるということで、放置しておくと基材そのものが脆くなる場合もあると説明しています(セイム「経年劣化と主なトラブル」)。苔は、屋根の維持管理を見直すきっかけと考えましょう。

苔が広がると、屋根材の表面に水分や汚れが付着しやすくなり、藻やカビが繁殖するという悪影響もあります。防水性が低下した屋根材はひび割れや反りが起きやすくなり、屋根の耐久性も下がります。雨水が屋根裏に回ると、断熱材が濡れて性能が落ちたり、換気の悪い屋根裏にカビが生えたりする被害につながることもあります。天窓のまわりや、軒先・谷部など水が集まる箇所は、特に注意して点検しましょう。

雨漏りとの関係

苔そのものが屋根に穴をあけるわけではありません。ただし、屋根材の重なりや谷部に苔や土がたまって雨水の流れが悪くなると、屋根材の下へ水が回り込む原因になることがあります。また、苔が目立つ屋根では、屋根材の割れやズレ、棟板金の浮きなど、別の不具合が同時に起きていることもあります。

なお、ケイミューは「雨漏りは再塗装では直りません」としています(同資料)。雨漏りが疑われる場合は、塗装の前に原因を調べることが大切です。雨漏りの原因は雨漏りの原因はどこ?場所別の見分け方、修理の進め方は熊本の雨漏り修理で解説しています。当社には雨漏り鑑定士が在籍しており、雨漏りの調査にも対応しています。

雨漏りのサインは、屋根の上より室内に先に出ることがあります。天井や壁のシミ、クロスの浮き、押し入れや小屋裏のカビ臭さなどに気づいたら、屋根の苔とあわせて点検を依頼しましょう。雨漏りを放置すると、屋根の下地の木材や断熱材まで傷むことがあります。

3つ目は、見た目の印象です。屋根は、道路や隣の家からもよく見える場所です。緑や黒の汚れが広がると、建物全体が古びた印象になります。売却や賃貸を考えている住まいや、入居者を募集するアパートでは、外観の印象も大切です。また、屋根から流れた苔や土が雨樋にたまると、詰まりや水あふれの原因になります。雨樋の状態もあわせて確認しましょう(雨樋の塗装は必要?)。

屋根の苔を自分で落とすのは危険

苔を見つけると、ブラシや高圧洗浄機で自分で落としたくなるかもしれません。しかし、屋根に登っての作業はおすすめできません。ケイミューは、お施主様ご自身で屋根に登ったり飛び降りたりしないよう求めています。落下事故やけがの原因となるほか、屋根材が割れて雨漏りの原因にもなるためです。屋根の点検や再塗装、補修工事なども、お施主様ご自身では絶対に行わないよう注意しています(屋根材メーカーの資料)。

苔や藻が付いた屋根は、雨の日でなくても滑りやすくなっています。また、家庭用の高圧洗浄機を屋根材に近づけて使うと、傷んだ塗膜や屋根材の表面を削ったり、屋根材の重なりに水を押し込んだりするおそれがあります。市販の薬剤も、屋根材や塗膜への影響や、流れ落ちた液が植木・外壁・車にかかる影響を確かめずに使うのは避けましょう。

ご自身でできるのは、地上やベランダ、2階の窓から見える範囲での確認です。次のようなサインがあれば、スマートフォンで写真を撮っておき、業者に点検を相談しましょう。

  • 屋根の一部が緑色や黒色に変わっている
  • 北側の面だけ、色が違って見える
  • 屋根材の表面に、白っぽい丸い斑点がある
  • 雨樋に苔や土、屋根材のかけらがたまっている
  • 屋根材の割れやズレ、棟の板金の浮きが見える
  • 室内の天井や壁に、雨染みがある

当社では、劣化診断士が現地で屋根の状態を診断し、撮影した写真を見ていただきながらご説明します。苔の場所や広がり、屋根材の傷みの程度を確かめたうえで、必要な工事をご提案します。

写真を撮るときは、屋根全体が写る引きの写真と、気になる部分をズームした写真の両方があると、状態を伝えやすくなります。撮影した日付と、どの方角の面かをメモしておくと、苔が広がっているかどうかを後から比べることもできます。

屋根の苔を業者が除去する方法

業者に依頼する場合、苔の除去方法は主に「高圧洗浄」と「専用の薬剤(クリーナー)」の2つです。スレートやセメント瓦では、苔を落としたあとに塗装で表面を保護するのが一般的な流れです。

苔が生えた屋根の点検では、苔そのものだけでなく、次のような点もあわせて確認します。苔の下に屋根材の割れや板金の不具合が隠れていることもあるためです。

  • 苔・藻・カビの範囲と、生えている面の向き
  • 屋根材の割れ・反り・欠け
  • 塗膜の色あせ・チョーキング・剥がれ
  • 棟板金の浮きや、固定している釘の抜け
  • 谷部の板金のサビや穴
  • 雨樋の詰まりや、水の流れ
  • 天窓まわりのシーリングの傷み
  • 室内の天井や小屋裏の雨染み

除去の方法ごとの特徴は、次のとおりです。

方法メリット・向いているケースデメリット・注意点
高圧洗浄塗り替えの前に、苔と古い塗膜をまとめて落とす塗り替えずに強い水圧をかけると、残っている塗膜を傷めることがある
専用の薬剤塗膜がまだ健全で、苔や藻の汚れを落としたい効果が出るまで時間がかかる。屋根材・塗膜・周囲への影響を確認する
洗浄+塗装塗膜が劣化し、屋根材が水を吸いやすくなっている縁切りなど、スレート屋根に必要な工程を確認する

高圧洗浄で、苔と古い塗膜を落とす

屋根塗装の前に行う高圧洗浄は、業務用の洗浄機で、苔・藻・カビや砂ぼこり、傷んだ古い塗膜をまとめて洗い流す工程です。汚れが残ったまま塗ると新しい塗料が密着せず、早い時期に剥がれる原因になります。当社の屋根塗装でも、足場を組んで安全を確保したうえで、まず高圧洗浄で屋根全体の汚れや苔を落とし、しっかり乾かしてから下塗りに進みます。

ただし、塗り替えをしないまま強い水圧で洗うと、残っている塗膜まで傷めてしまうことがあります。メーカーも、外壁材(サイディング)のお手入れについて、高圧水洗による洗浄は塗膜表面を傷めるおそれがあるため避けるよう求めています(外壁材メーカーの資料)。洗浄だけを行うか、洗浄と塗装を組み合わせるかは、屋根材と塗膜の状態を見て判断します。

洗浄では、水や汚れが隣の家や車に飛ばないよう、足場の周りに飛散防止のシートを張って作業します。当社では、工事の前に近隣の方へご挨拶し、洗浄や塗装を行う日程をお伝えしています。

専用の薬剤(クリーナー)を使う方法

苔や藻を除去する専用の薬剤を塗布する方法もあります。同社は、外壁の藻・カビの除去方法として、専用のクリーナーを塗布して放置しておくだけで、約2〜4週間で藻やコケの除去の効果が現れると説明しています。一方で、カビに対しては十分な効果が得られない場合があること、漂白作用のある薬剤は塗膜自体を傷めるおそれがあることにも触れています。また、藻・カビは除去できても効果がいつまでも続くものではなく、再発する可能性があるとしています(外壁材メーカーの資料)。

薬剤を使う場合は、その屋根材に使える製品か、効果が出るまでにどのくらいかかるか、周りの植木や車にかからないかを事前に確認する必要があります。薬剤を使った洗浄は「バイオ洗浄」などと呼ばれることもあります。

洗浄のあとに、塗装で屋根材を保護する

苔を落としただけでは、傷んだ塗膜はそのままです。スレートやセメント瓦は、塗装で表面に新しい塗膜をつくり、雨水を吸いにくい状態に戻すことが、苔の再発を遅らせることにもつながります。

ケイミューは、スレート屋根材(コロニアルクァッド)について、築10年目のメンテナンス後は10年ごとの定期メンテナンスを行うこととし、そこでは再塗装や取替えなどの大規模な補修も想定しています(屋根材メーカーの資料)。苔が目立ってきた時期は、屋根塗装を検討するひとつの目安になります。

苔を落として塗装する場合の、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 足場の設置と、周囲の養生
  2. 高圧洗浄で、苔・汚れ・古い塗膜を落とす
  3. 屋根を十分に乾燥させる
  4. 下地の補修(屋根材の割れの補修、棟板金の釘の打ち直しなど)
  5. 下塗り(屋根材と塗料の密着を高める)
  6. 中塗り・上塗り
  7. 縁切り(スレート屋根の場合)と完了確認

屋根の苔の除去と塗装の費用

苔の除去だけを行う場合の費用は、屋根の面積や勾配、足場の要否、苔の量によって大きく変わるため、当社では現地調査のうえでお見積りしています(要相談)。屋根塗装では、塗装前の高圧洗浄も工程のひとつです。

屋根塗装の料金の目安は、当社の料金ページに次のように掲載しています。足場代は別途で、正確な金額は現地調査のうえでお見積りします。

屋根塗装30坪40坪
シリコン17万円〜22万円〜
フッ素21万円〜28万円〜
無機・フッ素27万円〜34万円〜

足場代は、建物の大きさや形、敷地の広さによって変わります。見積書では、足場の金額とあわせて、足場をかける面積が書かれているかを確認しましょう。

屋根の作業には、多くの場合、足場が必要です。外壁塗装と屋根塗装を同じ時期に行えば、足場の設置は1回で済みます。熊本での屋根塗装の料金や塗り替えの時期は熊本の屋根塗装|料金の目安と塗り替え時期で、外壁とあわせた費用の内訳は熊本の外壁塗装の費用相場で解説しています。

見積書では、洗浄の方法、下塗り・中塗り・上塗りに使う塗料の製品名と塗る回数が書かれているかを確認しましょう。

屋根に苔を生えにくくする対策

苔は、環境の条件がそろえばまた生えてきます。メーカーも、藻・カビは除去しても再発する可能性があるとしています(外壁材メーカーの資料)。完全に防ぐことは難しいため、「生えにくくする」「早めに見つける」の2つを意識しましょう。

定期的に点検して、早めに見つける

屋根は、普段は見えにくい場所です。台風や大雨のあと、梅雨明けなどに、地上から見える範囲で屋根と雨樋の状態を確認しましょう。スレート屋根は、メーカーの資料では築10年目、その後は10年ごとの定期メンテナンスが示されています(屋根材メーカーの資料)。前回の塗り替えから年数がたっている場合や、苔が広い範囲に出ている場合は、業者に点検を依頼し、早めに対処すると安心です。

季節ごとに確認したいポイントをまとめました。

時期確認したいこと
春(3〜5月)冬のあいだに広がった苔や汚れ、雨樋にたまった落ち葉
梅雨(6〜7月)雨のあとに乾きにくい面、室内の天井や壁の雨染み
夏〜秋(8〜10月)台風や大雨のあとの屋根材のズレ・割れ、棟板金の浮き
冬(11〜2月)日陰の面の苔の広がり、落ち葉による雨樋の詰まり

塗り替えの周期は、塗料の期待耐用年数も目安になります。例えば、屋根用遮熱塗料のシャネツテックⅡSi-JYは13〜16年とされています(アステックペイント)。ただし、北面や日陰の面は乾きにくく、ほかの面より早く苔が出ることがあります。耐用年数の年数だけで判断せず、実際の屋根の状態を見て時期を決めましょう。

日当たりや風通しを改善し、水と汚れがたまる原因を減らすことも大切です。

  • 屋根にかかる木の枝を剪定して、日当たりと風通しをよくする
  • 雨樋の落ち葉や土を取り除き、水があふれないようにする
  • 太陽光パネルの下など、乾きにくい場所も点検のときに確認してもらう
  • 屋根の近くに、水や汚れがたまりやすい物を置かない

高い場所の剪定や雨樋の掃除は、脚立からの転落にも注意が必要です。2階以上の作業は無理をせず、業者に相談しましょう。

防藻・防カビ性をうたう塗料の考え方

塗料の中には、防藻・防カビ性をうたう製品もあります。ただし、性能の有無や程度は製品ごとに異なり、塗れば苔が二度と生えなくなるわけではありません。例えば、当社の施工事例でも使用したアステックペイントの屋根用遮熱塗料「シャネツテックⅡSi-JY」は、メーカーの製品ページで期待耐用年数13〜16年とされる一方、防カビ・防藻性の欄は「-」となっています(アステックペイント)。

塗料を選ぶときは、「苔を防ぐ」という言葉だけで決めず、メーカーのカタログや製品ページで性能の表示を確認することが大切です。苔対策の基本は、洗浄で汚れを落とし、塗装で屋根材を保護し、定期的に点検することです。屋根の暑さ対策もあわせて考えるなら遮熱塗料の効果とは?、塗料のグレードの違いは外壁・屋根塗装の塗料ランクをご覧ください。

防藻・防カビ性をうたう塗料を使った場合でも、効果がどのくらい続くかは、日当たりや風通し、周りの環境によって変わります。塗装のあとも、北面や日陰の面を中心に、定期的に状態を確認しましょう。

なお、屋根材の割れや反りが多い場合や、表面が層状に剥がれて塗装に向かない屋根材の場合は、塗装ではなく、屋根リフォームの方法として、今の屋根の上に新しい屋根材を重ねる「カバー工法」や、屋根材を交換する「葺き替え」が検討されることもあります。どの方法が合うかは、屋根材の種類と傷みの程度によって変わります。カバー工法の費用の考え方は屋根カバー工法とは?で解説しています。

当社では、現地調査で屋根材の種類と傷みの程度を確認し、塗装で対応できる状態かどうかをご説明します。塗装が向かない屋根材の場合は、その理由もあわせてお伝えします。

屋根塗装で苔対策をする注意点

縁切りで、雨水の逃げ道を確保する

スレート屋根を塗装すると、屋根材の重なり部分のすき間が塗料でふさがれることがあります。すき間がふさがると、入り込んだ雨水が抜けずに屋根材の下にたまり、雨漏りや下地の傷みの原因になります。これを防ぐため、塗装後にすき間を切り開く「縁切り」や、塗装の途中で専用の部材を差し込んですき間を確保する方法が行われます。苔が生えるほど湿気がこもりやすい屋根では、特に確認したい工程です。見積もりの段階で、縁切りをどの方法で行うかを確認しましょう。縁切りの部材や、縁切りが不要なケースはタスペーサーとは?で解説しています。

しっかり乾かしてから塗り、天候を見て進める

洗浄後の屋根が乾かないうちに塗ると、塗料の密着が悪くなります。国の公共建築工事標準仕様書に対応した塗料メーカーの仕様書では、塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露するなど塗料の乾燥に適さない場合は、原則として塗装を行わないとされています。外部の塗装は、雨のおそれがある場合や強風のときも、原則として行わないとされています(日本ペイント)。

九州北部の梅雨の平年値は、梅雨入りが6月4日ごろ、梅雨明けが7月19日ごろです(気象庁「過去の梅雨入りと梅雨明け(九州北部)」)。梅雨の時期に屋根塗装を行う場合は、晴れ間を見ながら工程を組むため、工期に余裕を持って計画しましょう。工程の全体は外壁塗装の工程と流れで紹介しています。

業者の選び方と、見積もりの確認

  • 屋根の写真を撮って、苔の場所や屋根材の傷みを説明してくれるか
  • 見積書に、洗浄の方法、塗料の製品名、塗る回数が書かれているか
  • 雨漏りの有無もあわせて確認してくれるか
  • 足場を含めた安全対策の説明があるか
  • 施工事例や、保証・アフターフォローの内容

見積もりは、できれば2〜3社から取り、金額だけでなく、洗浄などの工程、塗料の製品名、保証の内容を比べましょう。当社は、着工前から完了までの写真と使用した塗材をまとめた報告書をお渡ししています。完了後に工事の内容を確かめられるかどうかも、業者を選ぶときのポイントです。

「屋根に苔が生えていて危ない」「今すぐ工事が必要」などと突然訪問し、その場で契約をせまる業者には注意しましょう(国民生活センター)。屋根に登って点検すると言われても、その場で許可せず、家族や他の業者に相談してから判断しても遅くありません。業者選びの考え方は熊本県の塗装会社ランキングの見方で解説しています。

屋根の苔を洗浄して塗装した事例

当社が手がけた屋根塗装の中から、高圧洗浄で苔や汚れを落としてから塗装した事例を紹介します。

阿蘇郡南小国町の別荘の屋根は、緑豊かな高原に建つ別荘の赤い屋根です。長年の紫外線や雨風で退色や色ムラが進み、黒ずんだ汚れも目立っていました。高原の立地のため天候を見極めながら足場を組み、高圧洗浄で汚れやコケ、劣化した塗膜を洗い流して、しっかり乾かしてから塗装しました。下塗りはプレミアムSSシーラープライマー、上塗りは遮熱塗料のシリコンREVO500-IR(パワーレッド)です。

施工前の別荘の赤い屋根(阿蘇郡南小国町)退色と黒ずんだ汚れが広がった状態
施工前:退色が進み、屋根面に黒ずんだ汚れやコケが目立っていた状態
施工後の別荘の赤い屋根(阿蘇郡南小国町)パワーレッドで塗り替えた状態
施工後:高圧洗浄のあと、遮熱塗料で鮮やかな赤い屋根に

熊本市東区昭和町の住宅の屋根は、経年で塗膜が劣化し、退色や色ムラが進んでくすんだ印象になっていました。高圧洗浄で屋根の汚れやコケ、劣化した旧塗膜を洗い流したあと、下塗りにエポパワーシーラーJYを塗って密着性を高め、上塗りは遮熱塗料のシャネツテックⅡSi-JY(カーボングレー)で仕上げました。バルコニーの外壁の張り替えもあわせて行っています。

施工前のスレート屋根(熊本市東区昭和町)黒ずんだ汚れと色ムラがある状態
施工前:塗膜の劣化で退色し、屋根全体に黒ずみや色ムラが出ていた状態
施工後のスレート屋根(熊本市東区昭和町)カーボングレーで塗装した状態
施工後:カーボングレーの遮熱塗料で引き締まった印象に

熊本市北区西梶尾町のアパートの折板屋根では、屋根に設置されていたソーラーパネルを配線・架台ごと取り外したうえで、高圧洗浄でカビ・コケ・チリを洗い流し、ケレン作業で旧塗膜とサビを落としてから、サビ止めの下塗り、中塗り、上塗りの3工程で塗装しました。金属屋根でも、汚れがたまる部分には苔やカビが付くことがあります。

南小国町の別荘のように、周りに木が多く湿気がこもりやすい立地では、苔や汚れが付きやすくなります。塗り替えのあとも、周りの木の枝の伸び方や、北側の面の状態を定期的に確認することが、きれいな屋根を長く保つことにつながります。

ほかの事例は施工事例でご覧いただけます。屋根の色選びに迷ったら、屋根の色で人気なのは?屋根と外壁の色の組み合わせも参考にしてください。

屋根の苔に関するよくある質問

Q. 苔が少し生えているだけなら、様子を見てもいいですか?

範囲が小さく、屋根材の割れや雨漏りがなければ、すぐに工事が必要とは限りません。メーカーも、スレート屋根材は汚れがついても屋根材としての基本性能は問題ないとしています(屋根材メーカーの資料)。ただし、苔が広がってきた、前回の塗り替えから10年以上たっている、色あせやチョーキングも見られる、といった場合は、塗膜の保護が弱くなっている可能性があります。一度点検を受けて、状態を確かめておくと安心です。

Q. 苔が生えにくい屋根材はありますか?

釉薬をかけた粘土瓦や金属屋根は、屋根材自体が水を吸いにくいため、スレートやセメント瓦に比べると苔が根付きにくい傾向があります。ただし、どの屋根材でも、日当たりや風通しが悪く、汚れがたまる場所には苔や藻が付くことがあります。金属屋根は苔が根付きにくい一方で、傷や塗膜の剥がれからサビが出ることがあるため、苔とは別の点検が必要です。屋根材を選び直すことより、立地の条件に合わせて点検とメンテナンスを続けることが大切です。

Q. 苔の除去に火災保険は使えますか?

一般に、経年劣化による苔や汚れ、変色は、火災保険の補償の対象になりません。屋根材メーカーの保証でも、メーカーは通常の経年変化による金属サビ・コケ・カビ・藻などの汚れ・変色を責任の範囲外としています(屋根材メーカーの資料)。台風や大雨などの自然災害で屋根が壊れた場合は、補償の対象になることがあります。詳しくは雨漏りの修理に火災保険は使える?をご覧ください。

Q. 苔の除去だけでも相談できますか?見積もりは無料ですか?

はい。屋根の状態を確認したうえで、洗浄だけで済むか、塗装や補修が必要かをご説明します。苔の除去だけの費用は、屋根の面積や足場の要否で変わるため要相談です。現地調査・お見積りは無料です。

まとめ|屋根の苔は、早めの点検がおすすめ

  • 苔は、屋根の表面に水分と汚れが残りやすくなっているサイン
  • 熊本は梅雨の時期に雨が多く湿度も高いため、北面や日陰の屋根は特に注意
  • 自分で屋根に登っての除去は避け、地上から見える範囲で確認する
  • 除去は高圧洗浄や専用の薬剤で行い、スレートやセメント瓦は塗装で表面を保護する
  • 塗料は「苔を防ぐ」という言葉だけで選ばず、メーカーの性能表示を確認する
  • 屋根塗装の目安は30坪でシリコン17万円〜など(足場代別途)。苔の除去のみは要相談

株式会社佐藤塗装は、熊本市北区に本社を置き、2023年3月には熊本市南区城南町にも営業所を開設した塗装会社です。アステックペイントの加盟店として屋根用の遮熱塗料なども扱い、足場の設置まで自社で対応します。劣化診断士による現地調査、雨漏り鑑定士による雨漏りの調査、写真付きの報告書で、屋根の状態と工事の内容をわかりやすくお伝えします。屋根の苔が気になったら、お気軽にご相談ください。無料の現地調査・お見積りのご相談はこちら