遮熱塗料は、太陽の熱を反射して、屋根や外壁の表面温度の上昇を抑える塗料です。夏の暑さ対策として注目される一方、「意味がない」という声もあります。熱を反射する仕組みと、そう言われる理由、メリット・デメリット、効果が出やすい建物を、熊本の塗装会社が解説します。
この記事は、熊本で外壁・屋根の塗装を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。当社はアステックペイントの加盟店で、屋根や外壁の塗り替えで遮熱塗料を使うことも多くあります。
遮熱塗料とは?熱を反射する仕組み
太陽の光には、目に見える光のほか、熱のもとになる近赤外線が多く含まれています。屋根や外壁が熱くなるのは、塗膜がこの近赤外線を吸収して熱に変えるためです。遮熱塗料は、近赤外線をよく反射する顔料を使い、表面が熱を吸収しにくいようにした塗料です。
屋根用の遮熱塗料には、日本産業規格「JIS K 5675 屋根用高日射反射率塗料」があり、近赤外域(波長780〜2500nm)の日射反射率などで性能を評価します。日本塗料工業会も、高日射反射率塗料を扱う会員企業の情報を公開しています(日本塗料工業会「高日射反射率塗料」)。
遮熱塗料で期待できる効果
- 屋根や外壁の表面温度の上昇を抑える
- 屋根の真下の部屋(2階や最上階)の室温の上昇を和らげる
- 夏場のエアコンの負担を減らし、省エネにつながる
- 塗膜や屋根材が高温になるのを防ぎ、熱による劣化を抑える
たとえば、当社でよく使うアステックペイントの「シリコンREVO1000-IR」は、チタン複合遮熱無機顔料を採用し、メーカーの検証実験(色:N6グレー、約2時間の照明の照射)では、従来の塗料に比べて表面・裏面ともに約9℃の温度差が確認されたとしています(アステックペイント「シリコンREVO1000-IR」製品情報)。実際の効果は、建物の構造や色、日当たりなどの条件によって変わります。
屋根の表面温度の上昇を抑制できると、2階や最上階の室温の上昇が軽減され、空調が効きやすくなって、夏を快適に過ごしやすくなります。冷房にかかるコストの削減につながる場合もありますが、どの程度の差が出るかは建物ごとに異なります。
なお、太陽光パネルが載っている屋根では、パネルの下の部分には日差しがあまり当たらないため、その部分では遮熱の機能を発揮しにくくなります。
屋根の熱が室内に伝わるしくみ
夏の日中、日差しを受けた屋根の表面はとても熱くなります。その熱は、屋根材から屋根裏(小屋裏)の空気に伝わり、さらに天井を通して部屋に伝わります。遮熱塗料は、この流れの入り口である屋根の表面で、受け取る熱の量を減らすはたらきをします。
そのため、屋根裏の換気がよい家や、天井の断熱材が厚い家では、もともと室内に熱が伝わりにくく、塗装による変化は小さくなります。反対に、屋根のすぐ下に部屋がある建物や、断熱が薄い建物ほど、効果を感じやすくなります。
メーカーの試験データの読み方
遮熱塗料の効果は、メーカーの試験で「塗った部分と塗っていない部分で◯℃の差」のように示されることが多くあります。たとえば、アステックペイントの金属屋根用の遮熱塗料「シャネツトップワンSi-JY」は、メーカーの比較で、塗布した部分が43.1℃、塗布していない部分が60.3℃(17.2℃の差)と示されています(アステックペイント「シャネツトップワンSi-JY」製品情報)。
こうした数字は、決められた条件(色・照射の時間・下地など)で測った値で、実際の建物の室温が同じだけ下がるという意味ではありません。比べるときは、何と比べて、どこの温度を測った数字なのかを確認しましょう。
遮熱塗料が効かないと言われる理由
断熱材がしっかりした住宅では体感しにくい
天井や屋根裏に断熱材がしっかり入っている住宅では、屋根の表面温度が下がっても、室内の温度の変化は小さくなります。表面温度は下がっていても、「部屋が涼しくなった」とは感じにくいことがあります。
色や汚れで反射の性能が変わる
遮熱塗料でも、黒や濃い色は、白や明るい色より日射反射率が低くなります。また、表面に汚れやコケが付くと、光を反射しにくくなります。色の選び方と、汚れにくさも効果に関わります。
外壁より屋根で差が出やすい
日射を真上から強く受けるのは屋根です。外壁に遮熱塗料を使うこともできますが、効果を体感しやすいのは屋根、とくに屋根の真下に部屋がある建物です。
年数とともに性能が落ちる
塗膜が劣化したり汚れたりすると、遮熱の性能も少しずつ落ちていきます。塗料の耐久性や、汚れの付きにくさもあわせて選ぶことが大切です。
断熱塗料との違い
| 種類 | 仕組み | 主な目的 |
|---|---|---|
| 遮熱塗料 | 太陽の近赤外線を反射し、表面が熱くなるのを抑える | 夏の暑さ対策 |
| 断熱塗料 | 塗膜の中に熱を伝えにくい層をつくり、熱の出入りを抑える | 夏の暑さと冬の寒さの両方への対策をうたう製品が多い |
どちらも、住宅の断熱材の代わりになるものではありません。製品ごとに性能の示し方が違うため、メーカーの資料で、何をどのように測った数字なのかを確認しましょう。
遮熱塗料のメリットとデメリット
遮熱塗料を使うメリット
- 一般的な塗り替えと同じ工程で、夏の暑さ対策ができる
- 屋根材の表面温度を抑え、熱による劣化を和らげる
- 工場や倉庫など、屋根の面積が広い建物ほど省エネの効果が期待できる
- シリコンやフッ素など、耐久性の異なるグレードから選べる
遮熱塗料のデメリット・注意点
- 同じグレードの一般的な塗料より、価格が高くなることが多い
- 濃い色では、反射の性能が下がりやすい
- 汚れると効果が落ちるため、低汚染の性能もあわせて見る
- 冬は日射の熱も反射するため、暖房の面ではわずかに不利になる可能性がある
- 断熱材の状態などによっては、室温の変化を感じにくい
遮熱塗料の効果が出やすい建物
- 金属屋根(トタン・ガルバリウム鋼板・折板屋根)の住宅や、工場・倉庫
- 屋根の真下に部屋がある2階建て、平屋、アパートの最上階
- 屋根裏や天井の断熱が薄い、古い建物
- 日当たりがよく、夏に屋根が強く熱せられる建物
熊本は夏の日差しが強く、屋根の温度が上がりやすい地域です。とくに金属屋根や、アパートの最上階の暑さが気になる場合は、屋根の塗り替えのときに遮熱塗料を検討する価値があります。
金属屋根・折板屋根と遮熱
トタンやガルバリウム鋼板、工場や倉庫に多い折板屋根などの金属屋根は、熱を伝えやすく、夏の日中は屋根の裏側まで熱くなりがちです。屋根の下に天井や断熱材がない倉庫では、屋根の温度がそのまま室内の暑さにつながります。こうした建物は、遮熱塗料で屋根の表面温度を抑える効果が、室内の環境の変化として表れやすい建物です。
遮熱効果を高めるポイント
- 反射率の高い、明るい色を選ぶ
- 汚れが付きにくい低汚染タイプの塗料を選び、定期的に点検する
- サビや旧塗膜の剥がれを落とす下地処理を丁寧に行い、塗膜を長持ちさせる
- 屋根裏の換気や断熱の状態もあわせて見直す
遮熱塗料は、塗っただけで効果が決まるわけではありません。色と下地処理、建物の断熱の状態を含めて考えると、効果を実感しやすくなります。
遮熱塗料の性能の差と選び方
同じ「遮熱塗料」でも、樹脂の種類や色、下地の状態によって、効果の大きさや続く年数が変わります。
遮熱塗料は、日差しだけでなく雨風にもさらされる屋根の素材を守る塗料でもあります。塗膜の品質を長く維持できるかどうかが、遮熱の性能を保つうえでも重要です。
樹脂の種類(シリコン・フッ素)
塗料の耐久性は、主に樹脂の種類で決まります。遮熱の性能を長く保つには、塗膜そのものが長持ちすることが前提です。アステックペイントの屋根用の遮熱塗料では、期待耐用年数は次のように表記されています。
| 製品 | 樹脂 | 期待耐用年数 |
|---|---|---|
| スーパーシャネツサーモSi | シリコン | 13〜16年 |
| シャネツテックⅡSi-JY | シリコン | 13〜16年 |
| スーパーシャネツサーモF | フッ素 | 16〜20年 |
| シャネツテックⅡF-JY | フッ素 | 16〜20年 |
フッ素は価格が上がるぶん、塗り替えまでの期間を長くできます。塗料のグレードの違いは外壁・屋根塗装の塗料ランクで詳しく紹介しています。
顔料と色(日射反射率)
遮熱の性能は、近赤外線を反射する顔料と、色の明るさで変わります。同じ製品でも、白や明るいグレーは反射率が高く、黒や濃い色は低くなります。屋根の色の選び方は屋根の色で人気なのは?でも紹介しています。
下地の状態と下塗り材
塗膜が早く剥がれてしまうと、遮熱の効果も失われます。サビや旧塗膜をしっかり落とす下地処理と、屋根材に合った下塗り材を組み合わせることが、性能を長く保つための前提です。金属屋根では、サビ止めの性能をもつ下塗り材を使うのが一般的です。
選ぶときに確認したいこと
- 屋根用なら、JIS K 5675に適合しているか、日射反射率が示されているかを確認する
- 白や明るいグレーなど、反射率の高い色を選ぶと効果が出やすい(色見本で反射率を確認できる製品もある)
- 屋根材に合った下塗り材と組み合わせる
- 耐久性(期待耐用年数)と、汚れの付きにくさもあわせて比べる
塗料の種類ごとの耐久性は外壁塗装は何年ごと?、ラジカル塗料の特徴はラジカル塗料とは?でも紹介しています。
遮熱塗装の費用と工事の流れ
費用は長い目で考える
遮熱塗料は、同じグレードの一般的な塗料より価格が高くなることが多い一方、屋根の表面温度を抑えることで、塗膜や屋根材の熱による傷みを和らげます。費用を比べるときは、1回の工事の金額だけでなく、期待耐用年数で割った「1年あたりの費用」と、夏の暑さ対策の効果をあわせて考えましょう。当社の料金ページでは、屋根塗装(30坪)の目安を、シリコン17万円〜、フッ素21万円〜、無機・フッ素27万円〜としています(税込・足場代別途、料金ページ)。
冷房費がどれだけ下がるかは、建物の断熱や使い方で大きく変わるため、一律の金額では示せません。「電気代が必ず◯割下がる」といった説明を受けたときは、どんな条件での数字かを確かめてから判断しましょう。
遮熱塗装の工事の流れ
- 現地調査(屋根材の種類・劣化・サビ・屋根裏の状態の確認)
- 足場の設置と養生
- 高圧洗浄で汚れ・コケ・劣化した旧塗膜を落とす
- 下地処理(ケレン・割れの補修など)
- 下塗り(屋根材に合った下塗り材)
- 中塗り・上塗り(遮熱塗料)
- 完了検査・引き渡し
熊本の夏は日差しが強く、梅雨の時期は雨の日が続きます。塗装は雨の日や湿度の高い日を避けて行うため、梅雨の前後に工事を計画すると、工期の見通しを立てやすくなります。
施工前に確認したいこと
- 屋根材に合った遮熱塗料と下塗り材を使うか
- 色見本などで、選んだ色の日射反射率を確認できるか
- 屋根の割れや反りなど、塗装の前に補修が必要な傷みがないか
- ソーラーパネルがある場合、脱着が必要か
スレート屋根では、塗料で屋根材の重なりがふさがると雨水が抜けにくくなるため、縁切りなどの対策が必要です。対策の方法は、屋根の状態によって変わりますので、お問い合わせください。
当社の遮熱塗装の施工事例
- 熊本市東区昭和町の戸建て住宅:遮熱塗料「シャネツテック」で屋根をカーボングレーに塗装(施工事例)
- 熊本市北区山室の3階建て賃貸アパート:外壁・屋根ともに「シリコンREVO1000-IR(遮熱)」で塗装し、屋上防水も実施(施工事例)
- 合志市須屋の戸建て賃貸住宅:屋根に遮熱塗料「シャネツテックIISi-JY」を使用(施工事例)
- 熊本市南区城南町の戸建て住宅:外壁を「シリコンREVO1000-IR(遮熱)」で塗装(施工事例)
遮熱塗料を使った場合の費用は、屋根の面積や塗料のグレードで変わるため、現地調査のうえでお見積りしています。当社の屋根塗装・外壁塗装の料金の目安は料金ページに掲載しています(足場代は別途)。
遮熱塗料の効果のよくある質問
Q. 外壁に遮熱塗料を使っても効果はありますか?
外壁の表面温度の上昇を抑える効果は期待できますが、屋根に比べると、室温の変化として感じる効果は小さくなりがちです。西日が強く当たる面など、条件によって検討します。
Q. 冬に寒くなりませんか?
冬は太陽の高さが低く、屋根が受ける日射も少ないため、影響は夏ほど大きくないと考えられます。心配な場合は、断熱の性能をうたう塗料や、屋根裏の断熱の見直しもあわせて検討しましょう。
Q. 遮熱塗料の効果は何年くらい続きますか?
塗膜が劣化したり汚れたりすると、少しずつ性能が落ちます。塗料の期待耐用年数が一つの目安で、たとえばシリコンREVO1000-IRはメーカーの表記で13〜16年です。
Q. 遮熱塗装に補助金は使えますか?
屋根や外壁の塗装そのものを対象にした補助金は多くありませんが、市町村によっては住宅リフォームの補助制度の対象になる場合があります。探し方は熊本で外壁塗装に使える助成金は?で紹介しています。
Q. 工場や倉庫の屋根にも使えますか?
はい。折板屋根などの金属屋根は熱を伝えやすく、遮熱塗料の効果が出やすい屋根です。熊本市北区西梶尾町のアパートでは、ソーラーパネルを脱着して折板屋根を塗装しました(施工事例)。
Q. 遮熱塗料と遮熱シートの違いは何ですか?
遮熱シートは、屋根の下地や屋根裏に張って熱を反射する材料で、屋根の葺き替えや新築のときに施工するのが一般的です。遮熱塗料は、今ある屋根の表面に塗るため、塗り替えのときに取り入れやすいのが特長です。どちらが合うかは屋根の状態によって変わるため、お気軽にご相談ください。
あわせて読みたい:工場・倉庫の外壁塗装はなぜ必要/折板屋根の塗装はなぜ必要
まとめ|屋根と色で効果が変わる
- 遮熱塗料は、近赤外線を反射して表面温度の上昇を抑える塗料
- 効果を感じやすいのは、屋根の真下に部屋がある建物や、金属屋根の建物
- 断熱材が十分な住宅や、濃い色・汚れた状態では、効果を感じにくい
- JIS K 5675への適合や日射反射率、耐久性・低汚染性で選ぶ
- 夏の暑さ対策は、屋根の塗り替えの時期にあわせて検討すると効率的
熊本で屋根の暑さや遮熱塗料が気になる方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

