塗装で鉄骨階段を守る|サビの劣化サインと工程・費用

アパートやマンションの鉄骨階段は、塗膜が傷むとサビが広がり、やがて腐食や穴あきにつながります。鉄骨階段の塗装が必要な理由と劣化のサイン、塗り替えの時期、ケレンから上塗りまでの工程、塗料の選び方、費用の内訳と見積もりの見方、業者の選び方、塗装後のメンテナンスと長期の点検計画を解説します。

この記事は、熊本で外壁・屋根・鉄部の塗装を行う株式会社佐藤塗装がまとめています。アパート・マンションのオーナー様や、管理組合・管理会社の方の参考にしてください。

鉄骨階段の塗装はなぜ必要?

鉄骨階段の塗装は、建物の構造を守り、美観を維持するための重要なメンテナンスです。屋外にある鉄骨階段は、雨や紫外線を直接受ける部位のため、サビが発生・進行しやすく、塗膜による保護が欠かせません。

鉄骨階段は、鋼材を組み立てて作った階段で、アパートやマンションの外階段、工場や店舗の非常階段などに多く使われています。鉄は水と酸素にふれるとサビるため、表面の塗膜で守られています。この塗膜が紫外線や雨風で劣化すると、防錆の力が落ち、サビが出てきます。

  • 安全を守る:サビで鋼材が腐食すると、段板や手すりの強度が落ち、踏み抜きや転倒の事故につながるおそれがある
  • 建物の寿命を延ばす:サビが小さいうちに塗装すれば、部材の交換などの大きな補修を避けやすい
  • 見た目を整える:赤サビや色あせは建物全体の印象を悪くし、入居者募集にも影響する
  • 費用を抑える:腐食が進んでからでは、塗装だけでは直せず、補修費用がかさむ

鉄骨階段でサビが出やすい場所

  • 段板の裏側や、段板と側桁(ささら桁)の接合部
  • 溶接部やボルトまわり
  • 手すりの支柱の根元
  • 地面や床と接する柱の足元
  • 雨水がたまりやすい踊り場の端や排水まわり
  • 段板に張った床シートの端部

雨水がたまりやすい場所や、塗装の刷毛が届きにくい裏側・すき間から、サビが始まることが多くあります。点検のときは、表から見える部分だけでなく、裏側や接合部も確認しましょう。

鉄骨階段の劣化サインと塗り替えの時期

こんな症状は塗り替えのサイン

  • 色あせ・つやがなくなる
  • チョーキング:触ると白い粉が手に付く
  • 点状のサビ(点サビ)が出ている
  • 塗膜の膨れ・剥がれ
  • 赤サビが広がり、サビの汁が床や壁に流れている
  • 腐食で鋼材がやせたり、穴や欠けがある
  • 歩くとぐらつく、きしむ

色あせやチョーキングは塗膜の劣化の初期のサインで、この段階で塗り替えれば下地の処理も軽く済みます。塗膜の剥がれの原因は外壁塗装が剥がれる原因、チョーキングはチョーキング現象とは?で解説しています。

塗り替えの時期の目安

塗り替えの時期は、前回の塗料や、雨の当たり方、海からの距離などで大きく変わります。年数だけで判断せず、定期的に点検して、点サビや塗膜の剥がれが出てきた段階で塗り替えを考えるのがおすすめです。外壁塗装と同じ時期に行えば、足場や現場管理をまとめられ、建物全体の塗り替えの周期もそろえられます。

塗り替えのタイミングを見極めるには、定期的な診断が大切です。塗料の耐用年数は製品や環境によって異なるため、年数だけでなく、点サビや塗膜の剥がれといった実際の症状をチェックしましょう。

自分でできる点検のチェックリスト

  • 段板の裏や手すりの根元に、赤サビや膨れがないか
  • 床や壁に、サビの汁が流れた跡がないか
  • 手すりを軽くゆすって、ぐらつきがないか
  • 歩いたときに、きしみや沈むような感覚がないか
  • 踊り場や段板に、水たまりができていないか

台風や大雨のあと、季節の変わり目などに、住人の方や管理会社の方が目で見て確認するだけでも、早期発見につながります。気になる箇所があれば、写真を撮っておくと相談のときに役立ちます。

放置するとどうなる?

サビは、塗膜の下で広がりながら鋼材を少しずつ薄くしていきます。表面の赤サビの段階なら塗装で止められますが、腐食が進んで鋼材に穴があいたり、強度が落ちたりすると、塗装だけでは対応できず、部材の補修や交換が必要になります。階段は毎日人が使う場所なので、安全のためにも早めの対応が大切です。

熊本の気候・地震と鉄骨階段

熊本は梅雨の雨が多く、熊本市にある気象庁の観測点の平年値(1991〜2020年)では、6月の降水量は448.5mm、7月は386.8mmです(気象庁「平年値(熊本)」)。雨が続く時期は、段板の裏や踊り場の端に水が残りやすく、塗膜の傷んだところからサビが進みやすくなります。八代や宇土、天草など海に近い地域では、潮風の影響でサビが出やすいため、点検の間隔を短めにしましょう。

また、2026年7月の令和8年熊本地震のような大きな揺れのあとは、溶接部やボルトまわりのひび・ゆるみ、手すりのぐらつき、階段と建物の取り合いのすき間がないかも確認が必要です。地震後の建物の点検のポイントは地震で室内の壁にひび割れで解説しています。

鉄骨階段の塗装工程と作業の流れ

下地処理の不良は、塗装の失敗の大きな原因です。適切な準備と手順で工事を実施することで、耐久性の高い塗膜をつくれます。ケレンの前の汚れ落としは、高圧洗浄や手作業の清掃など、現場の状態に合わせて方法を選びます。

鉄部の塗装は、塗る前の下地調整(ケレン)で仕上がりと持ちが決まります。一般的な流れは次のとおりです。

1. 汚れ・付着物の除去

ほこりや泥、油分などの汚れを取り除きます。汚れが残ったまま塗ると、塗料が密着せず、早く剥がれる原因になります。

2. ケレン(下地調整)

ディスクサンダーやスクレーパー、ワイヤーブラシなどで、サビや劣化した古い塗膜を落とします。国の公共建築改修工事標準仕様書では、鉄鋼面の下地調整をRA種・RB種・RC種に分けています(日本ペイント「公共建築改修工事標準仕様書対応 塗装仕様書」)。

種別主な内容
RA種ディスクサンダー、スクレーパー等により、塗膜及び錆等を全面除去する
RB種ディスクサンダー、スクレーパー等により、劣化しぜい弱な部分及び錆等を除去し、傷んでいない塗膜(活膜)は残す
RC種ワイヤブラシ等での汚れ・付着物の除去と、研磨紙での研磨(研磨紙ずり)

同仕様書では、特記がなければRB種とするとされています。住宅やアパートの塗り替えでも、サビや傷んだ塗膜はしっかり落とし、しっかり付いている塗膜は残して表面を研磨する、という考え方が基本です。

亜鉛めっきの階段は下地調整が異なる

鉄骨階段には、表面に亜鉛めっきを施した鋼材が使われていることもあります。同じ仕様書では、亜鉛めっき鋼面の下地調整を鉄鋼面とは別の表で定めており、特記がなければRB種、無塗装の既存亜鉛めっき鋼面に塗装する場合はRA種とし、既存塗膜の除去の工程を省くとしています(日本ペイント「公共建築改修工事標準仕様書対応 塗装仕様書」)。亜鉛めっきの面は塗料が付きにくいことがあるため、素材に合った下塗り材を選ぶことが大切です。

3. 錆止め(下塗り)

サビを落とした面に、錆止めの下塗りを塗ります。当社の施工事例で使用した日本ペイントの「ハイポンファインプライマーⅡ」は、弱溶剤形2液のエポキシさび止め塗料で、メーカーは速乾性、すぐれた防錆性、重金属顔料を含まないこと、塗り替え適性を特長にあげています。鉄のほか、溶融亜鉛めっきやガルバリウム鋼板などにも使え、塗り重ねの間隔は23℃で4時間以上7日以内とされています(日本ペイント「ハイポンファインプライマーⅡ」)。

角・溶接部・裏側は先に塗る

鉄部の角や溶接部、ボルトまわり、段板の裏側などは、ローラーでは塗料が乗りにくく、塗膜が薄くなりやすい場所です。こうした部分は、刷毛で先に塗っておく(先行塗り)ことで、塗り残しや塗膜の薄い部分を減らせます。サビが出やすい場所ほど、丁寧に塗ることが持ちにつながります。

4. 中塗り・上塗り

上塗りの塗料を2回塗り重ね、塗膜の厚みと色・つやをそろえます。1回だけでは塗膜が薄く、耐久性が落ちます。工程ごとの乾燥時間を守ることも大切です。外壁も含めた塗装の流れは外壁塗装の工程で解説しています。

5. 使いながらの工事への配慮

アパートやマンションの階段は、工事中も住人が使います。塗装中や乾燥中の場所には表示を出し、片側ずつ塗る、時間帯を分けるなど、通行できる経路を確保しながら進めます。

鉄骨階段に使う塗料の選び方

塗料特徴
エポキシ系の錆止め密着性と防錆性が高く、鉄部の下塗りに広く使われる
ウレタン系塗膜に柔軟性があり、鉄部の上塗りに使われてきた。費用を抑えやすい
シリコン系耐候性と費用のバランスがよく、外壁と同じ系統でそろえやすい
フッ素系耐候性が高く、塗り替えの間隔を長くしやすい。費用は高め

鉄骨階段は、上塗りのグレードよりも、ケレンと錆止めの質が持ちを大きく左右します。上塗りは、外壁の塗り替えの周期に合わせて選ぶと、次のメンテナンスの計画を立てやすくなります。塗料ごとの違いは外壁塗料のランクで紹介しています。

色の選び方

鉄骨階段の色は、外壁や手すり、玄関ドアとの組み合わせで選ぶと、建物全体がまとまって見えます。ダークブラウンやこげ茶、黒に近いグレーなどの濃い色は、汚れや小さなサビの汁が目立ちにくく、アパートの階段や手すりでよく選ばれます。明るい色にしたい場合は、汚れの目立ちやすさも考えて選びましょう。

段板の床は長尺シートという選択も

鉄骨階段の段板や踊り場の床には、防滑性のある長尺シート(ビニル床シート)を張る方法もあります。滑りにくく、足音も響きにくくなります。ただし、床材メーカーの施工要領では、金属の下地に床材を張ると、目地や端部から入った水で下地が腐食し、床材の膨れや変色を起こす場合があるとして、下地の防錆処理を求めています(タキロンシーアイ「工法・下地」)。張り替えの際は、シートの下の鉄部の状態も確認することが大切です。長尺シートについては共用廊下の長尺シートで詳しく解説しています。

鉄骨階段の塗装費用の考え方

鉄骨階段の塗装費用は、階段の大きさだけでなく、次のような条件で変わります。当社の料金ページには鉄骨階段の金額を掲載していないため、現地調査のうえでお見積り(要相談)としています。

鉄骨階段の塗装の相場や価格は、面積や部位の数、サビの進行の程度で大きく変わります。外壁塗装や屋上防水、付帯部の塗装工事とあわせて実施すれば、足場の設置も1回で済み、費用を抑える効果が期待できます。

鉄骨階段の塗装の見積もりは、主に次の項目で構成されます。

項目内容
養生・安全対策通行する入居者の安全の確保、塗料の飛散を防ぐ養生
ケレン(下地調整)サビや傷んだ旧塗膜の除去。サビが多いほど手間が増える
錆止め(下塗り)エポキシ系などの錆止め塗料の塗布
中塗り・上塗り上塗り塗料を2回塗り重ねる
補修腐食した部材の補修・当て板など(必要な場合)
足場高所の部分や、外壁塗装とあわせて行う場合
  • 階段の数・段数・踊り場の広さ
  • 手すりや柵の形(細かい部材が多いほど手間がかかる)
  • サビの広がりと、ケレンの範囲
  • 腐食部分の補修の有無
  • 足場や養生の必要性
  • 外壁塗装と同時に行うかどうか

見積もりで確認したいポイント

  • ケレンの方法と範囲(どこまでサビや古い塗膜を落とすか)
  • 錆止めの塗料名と塗る回数
  • 上塗りの塗料名と塗る回数
  • 段板の裏側や接合部まで塗るか
  • 腐食部分があった場合の対応

当社では、劣化診断士が現地で状態を確認し、写真をもとに工事の内容をご説明します。工事後は、着工前から完了までの写真と使用した塗材をまとめた報告書をお渡ししています。外壁塗装・屋根塗装の料金の目安は料金ページに掲載しています(足場代は別途)。

鉄骨階段の塗装業者の選び方

  • 鉄部の塗装やアパートの共用部の施工実績があるか
  • ケレンの方法や錆止めの種類を、理由とあわせて説明してくれるか
  • 見積書に、ケレン・錆止め・上塗りの塗料名と回数が書かれているか
  • 入居者が階段を使いながら工事する場合の、通行の確保や安全対策を説明してくれるか
  • 工事後の報告書や保証、点検の内容が明確か

トラブルを防止するため、施工品質の確認方法や再塗装の保証、近隣への配慮の方法も、依頼の前に確認しておくと安心です。業者からの提案の内容とリスクの説明にも注目しましょう。

「今すぐ直さないと危ない」と契約を急がせる訪問販売には注意しましょう(国民生活センター)。当社の保証や点検の内容は、お見積りの際にご確認ください。

鉄骨階段・鉄部の塗装の施工事例

熊本市中央区薬園町の鉄部塗装

手すり・階段・扉・架台などの鉄部を塗装しました。ケレンでサビや浮いた旧塗膜、汚れを落とし、目荒らしと清掃で下地を整えたうえで、錆止めに日本ペイントの「ハイポンファインプライマーⅡ」、上塗りに「ファインSi」を2回塗り重ねて仕上げています(施工事例を見る)。

熊本市北区西梶尾町の賃貸アパート

屋根・外壁の塗装と外廊下の長尺シートの張り替えにあわせて、庇・階段・手すりなどをダークブラウンで塗装し、ベージュ系の外壁との色の組み合わせで建物全体を引き締めました(施工事例を見る)。

塗装後のメンテナンスと長期の点検計画

鉄骨階段の塗装を長持ちさせるには、塗り替えのあとも定期的に状態を確かめ、小さなサビのうちに手を入れることが大切です。

  • 点検の時期を決める:梅雨入り前と台風シーズンのあとなど、年に1〜2回を目安に目で見て確認する
  • 記録を残す:サビや剥がれの場所を、日付がわかる写真で残し、前回と比べる
  • 早めの部分補修:点サビのうちにケレンと錆止めで補修し、広がりを防ぐ
  • 次の塗り替えを計画する:外壁や屋根の塗り替えの周期とそろえ、足場や工程をまとめる
  • 管理会社と共有する:入居者からの連絡(ぐらつき・サビの汁など)を受けたときの対応を決めておく

DIYでできること・プロに任せること

目で見る点検や写真での記録、段板の上の掃除や排水口のごみの除去は、オーナー様や管理会社でもできます。一方で、ケレンと錆止め、上塗りの塗り重ねは、仕上がりと持ちを左右する工程で、高所や裏側の作業もあるため、専門の業者に任せるのがおすすめです。

共用廊下の床の長尺シートは共用廊下の長尺シート、アパート全体の塗装の費用と長期の修繕計画はアパートの外壁塗装の費用で紹介しています。

鉄骨階段の塗装に関するよくある質問

Q. 自分で塗装(DIY)できますか?

小さな点サビのタッチアップ程度なら可能ですが、階段全体の塗装は、ケレンの手間と高所の作業があり、仕上がりと安全の面でおすすめできません。サビを落としきれずに塗ると、すぐに塗膜の下からサビが再発します。

Q. サビで穴があいている場合も塗装で直せますか?

穴があくほど腐食が進んだ部分は、塗装だけでは強度が戻りません。部材の補修や交換が必要になるため、現地調査で状態を確認し、対応をご相談します。

Q. 工事中は階段を使えますか?

塗装中や乾燥中の場所を避けて通れるように、片側ずつ塗る、時間帯を分けるなどの工夫をします。工事の日程は事前にお知らせします。

まとめ|塗装で鉄骨階段のサビを防ぐ

  • 鉄骨階段は、塗膜が傷むとサビが広がり、腐食で強度が落ちる
  • サビは段板の裏や接合部、手すりの根元など、見えにくい場所から始まりやすい
  • 塗装の持ちは、ケレン(下地調整)と錆止めの質で決まる
  • 公共建築改修工事標準仕様書では、鉄鋼面の下地調整をRA・RB・RC種に分け、特記がなければRB種とする
  • 費用は階段の規模、サビの広がり、補修の有無で変わるため、現地調査で確認する

熊本でアパート・マンションの鉄骨階段や鉄部の塗装を検討している方は、株式会社佐藤塗装にご相談ください。これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。

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